(第25号)固定資産税の評価・課税誤りがなぜ発生するのか

 
(投稿・平成36年-見直し・令和6年7月)

 今号は、固定資産税の評価・課税誤り(以下単に「課税誤り」とします)がなぜ発生するのかです。

 固定資産税の「課税誤り」は様々な原因によりますが、今回は主な項目程度にして、詳細につきましては今後順次触れていくこととします。

土地評価の「課税誤り」

住宅用地の特例(減額)の見落とし

 土地の評価では、地目認定は現況利用から判断されますので、現地調査を行うことにより外見からも判断できるため、家屋と比べて「課税誤り」は少ないと言えます。

 しかし土地の中でも、住宅用地は200㎡までが6分の1(200㎡を超える部分は3分の1)に減額されるのですが、それが見落とさている場合があります。

 例えば、アパートの隣地が駐車場である場合、その駐車場をアパートの居住者が利用しているのであれば、一体画地として6分の1(3分の1)になるべきですが、雑種地として課税されている場合が見られます。

 このような場合、外観からどのように使用されている土地か判断が難しいため、市町村では、条例で「申告」を義務づけていますが、仮に「申告」がなくても住宅用地であるか否かを市町村が判断しなければならないとされています。

 これは固定資産の土地と家屋は「賦課課税方式」であることから、「申告が無いからといって住宅用地を否定するものではない」との見解が正式なものとなっているからです。

 

非課税項目の見落とし

 土地の非課税としては、国道、県道等の「人的非課税」と、土地の用途によって非課税とされる「物的(用途)非課税」があります。この後者の「物的(用途)非課税」は地方税法で69項目が限定列挙されていますが、この非課税を見落としている「課税誤り」があることが、ときどき報道されています。

「再建築価格方式」の複雑さ

 家屋は土地と比べても「課税誤り」が多いと言えます。

    家屋は新築時に評価されれば、その後は増改築等が無い限り、その評価により経年減価等により在来家屋として評価・課税されていきますので、問題は「新築時の評価に誤りがあるかどうか」ということになります。

  家屋の評価は「再建築価格方式」によりますが、固定資産評価基準(家屋編)や各市町村の固定資産評価事務取扱要領(名称は市町村により異なります)に詳細な基準が定められています。実は、その複雑な基準が、家屋の「課税誤り」の原因となっているとも言えます。

家屋と償却資産の二重課税

 償却資産は、土地と家屋の「賦課課税方式」と異なり、所有者からの申告に基づいて課税される「申告課税方式」です。

 そこで、「課税誤り」があるとすると、家屋と償却資産の二重課税があり得るということです。

 家屋として評価されているのに償却資産として申告していて、市町村でも気づかずに二重課税がされている状況ですが、この二重課税が意外と多いのです。

※「課税誤り」については重要な問題(テーマ)でありますので、今後折に触れ解説していきます。
 
2022/5/16/18:00
 

 

(第24号)固定資産評価は相続税、不動産取得税、登録免許税でも活用

 
(投稿・平成25年5月-見直し・令和6年7月)<100号達成時の閲覧数10位>

 固定資産税の価格(評価額)は、他の税金の評価でも活用されています。

 では、どのような税金に活用されているのでしょうか。

 固定資産税の価格は、①相続税の「倍率方式による評価」、②相続税の「建物の評価」、③不動産取得税の「取得した不動産の価格(課税標準額)」、④登録免許税の「不動産の課税標準額」の評価に用いられています。

相続税の「倍率方式による評価」

 相続税の宅地の評価方法には、路線価方式と倍率方式がありますが、主に市街化調整区域(非住宅地区)内の宅地の相続税評価では、倍率方式が採用されています。

 この倍率方式とは、固定資産税の価格(評価額)に、地域ごとに決められた倍率(例えば1.1とか1.2など)を乗じて評価する方法です。

 農地や山林、原野もこの倍率方式が採用されています。

 「相続税倍率表」

 倍率地域の相続税(宅地)評価額=固定資産税評価額×倍率

相続税の「建物の評価」

 相続税の建物の評価は、固定資産税評価額そのものを用います。つまり倍率は1.0です。

 自用の建物の相続税評価=固定資産税家屋評価額×1.0
 貸家の相続税評価=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
 ※借家権割合…東京国税局管内は30%

 ところで、固定資産税家屋の建築費は、総務省で建築専門家等の作業部会を経て、3年に1度決定されています。

 相続税の解説書では、固定資産税の建築費は市場相場の5割とか6割などと説明されていますが、市場相場に対する割合が最初から決められている訳ではありません。一つの「目安」と理解するのが妥当であると思います。

不動産取得税の「取得した価格」

 土地や家屋を購入したり、家屋を建築するなどして不動産を取得したときに、不動産取得税が課税されます。

 不動産取得税=取得した不動産の価格(課税標準)×税率=税額ですが、この「取得した不動産の価格」は固定資産税評価額(正確には「固定資産課税台帳に登録された価格」)とされています。

 不動産取得税の税率は令和9年3月31日までに取得した土地及び住宅の税率は3%となります。また、宅地及び宅地比準土地を取得した場合は、当該土地の価格に1/2の負担調整措置が講じられています。

 宅地の不動産取得税=固定資産税評価額×3%×1/2

 なお、不動産取得税の計算根拠として固定資産税評価額を用いていますが、実は、大都市以外の市町村における固定資産税評価自体を都道府県(県税事務所)が請け負っているのです。(この点については、後日解説していきます。)

登録免許税の「不動産の課税標準額」

 土地や建物の所有権移転登記、建物の所有権保存登記の際に、登録免許税が課税されます。

 土地の所有権移転登記では、「不動産の課税標準額」に1000分の20の税率が乗じられますが、ここでも固定資産税評価額(正確には「固定資産課税台帳に登録された価格」)が用いられます。

 なお、登録免許税も令和8年3月31日まで軽減措置があり、1000分の15とされます。

 土地所有権移転の登録免許税=固定資産税評価額×15/1000

 不動産の売買では、仲介の不動産業者が諸費用として計算し、司法書士が登記手続きを進めるのが一般的ですので、納税している感覚が無いかもしれません。

 なお、新築建物は未だ固定資産課税台帳に登録された価格が無いため、法務局が定める「新築建物課税標準価格認定基準表」により計算されます。なお、この「基準表」は各法務局ごとに定められています。

 
2022/05/16/17:00
 

 

(第23号)課税明細書(土地・家屋)で評価計算(内容)が分かるか?

 
(投稿・平成25年5月-見直し・令和6年7月)

 毎年4月~5月になると、市町村から固定資産税の納税通知書とともに課税明細書が送付されてきますが(東京23区は6月)、今回は、課税明細書がどうなっているか、これでどこまで評価内容が分かるかです。

 最近、F市の方から「この課税明細書で小規模住宅用地がどのように計算されているのか分からない」とのご質問がありました。送られてきたF市の課税明細書(?)を見ると、確かに計算できるような記載形式にはなっていないのです。

 このように課税明細書自体が計算できない形式は特殊なケースですが、一般的に課税明細書は複雑で、納税者の皆様が見た限りでは分からないのが実のところではないかと思います。

 まず土地の場合は、平成6年度から、土地の価格を地価公示地価格の7割としたことから、急に引き上げることができないため、緩和措置としての負担調整措置を平成9年度から行っていることにより、計算過程が複雑になっています。

 また家屋の場合は、固定資産税評価そのもの自体が複雑なため、課税明細書に記載できるようなものではありません。

 なお、ここで掲げる課税明細書(例)は横浜市のホームページに掲載されているものから作成したものですが、市町村により表記方法が異なりますのでご注意ください。

土地の課税明細書(例)


<拡大してご覧になる場合は、こちらのPDFをご覧ください。>

 
 土地の場合は、負担調整措置が行われていることから、表記も評価計算も複雑になっています。

 まず、⑤と⑥から、この土地は200㎡以下の小規模住宅用地であることが分かります。

 ⑦「価格」は地価公示レベルの7割となっており19325697円で、⑩「固定資産税本則課税標準額」1/6で3220949円、⑪「都市計画税本則課税標準額」は1/3で6441889円となります。

<小規模住宅用地の負担調整措置>

 本来であれば、⑩「本則課税標準額」=⑫「(今年度)課税標準額」になるのですが、負担調整措置により、⑧「前年度課税標準額」と③「負担水準」により調整がなされています。

 負担調整措置としては、⑧「前年度固定資産税課税標準額」3020000円が⑩「固定資産税本則課税標準額」3220949円のどこまで達しているかの③「負担水準」を求めます。この土地の場合は、⑧/⑩により③「負担水準」93%となっています。

 ③「負担水準」が93%であれば100%に達していないため、「⑧+⑩×5%」の計算により⑫「(今年度)固定資産税課税標準額」を求めます。

 その結果、⑫「固定資産税課税標準額」3181047円、⑬「都市計画税課税標準額」6441899円となります。税相当額は、それぞれ1.4%、0.3%を乗じて⑭44534円、⑮19325円となります。
 なお、固定資産税の税額は100円未満切り捨てですので、税金は⑭44,500円と⑮19,300円となります。

 現在の固定資産税土地の評価は、このように⑧⑨「前年度課税標準額」と③「負担水準」を挟む負担調整措置により複雑になっています。

家屋の課税明細書(例)


<拡大してご覧になる場合は、こちらのPDFをご覧ください。>

 
 まず、②「所在・地番」、③「家屋番号」、⑤「種類・構造」、⑥課税床面積を確認して自分(自社)の家屋に間違いないことを確認します。

 市町村によっては、新築年月日の記載がありますが、この課税明細書には記載がありません。新築年月日が記載されていれば、この家屋が住宅減額の特例に該当するか否かが分かります。

 この家屋では、④「軽減相当税額・減額事由」に小さな文字で「6A」とあります。右欄の「主な減額事由コード」によると、「6A」は「一般の新築住宅」とありますので、この家屋は「一般の新築住宅」としての減額がされていることを意味しています。ということは、この家屋は新築後3年以内であることが分かります。
(課税明細書は所有者に送付されますので、築年数は所有者が良く分かっているでしょう。)

 「一般の新築住宅」の固定資産税の減額は、居住部分の割合が全体の床面積の1/2以上で、その床面積が120㎡以下、かつ2階以下の家屋については、新築後3年間は課税標準額(税額)が1/2に減額されます。

 この家屋は、⑤「種類・構造」が居宅・木造、⑥「課税床面積」が103.00㎡で「6A」とあるので、⑫「固定資産税の課税標準額」4377500円が⑦「価格」8755000円の1/2になっています。

 なお、「一般の新築住宅」の場合は、3年間減額になるのは固定資産税のみで都市計画税は減額にはなりません。ですから⑦=⑬8755000円となっている訳です。

 ⑫×1.4%=⑭「固定資産税相当額」61285円、⑬×0.3%=⑮「都市計画税相当額」26265円となっています。

 以上のとおり、家屋の課税明細書は簡略な表記になっていますが、問題は「なぜ、この価格(評価額)になっているのか」が「課税明細書では分からない」ということです。(「明細書」の言葉が一人歩きしています。)
 
2022/5/15/9:00
 

 

(第22号)物的(用途)非課税の例(2)-社会福祉法人等による「老人福祉施設」

 
(投稿・平成25年-見直し・令和6年7月)<100号達成時の閲覧数3位>

 固定資産税の非課税については、第13号「固定資産税が課税されない非課税制度とは」と第21号「物的(用途)非課税の例(1)ー私道でも「公共の用に供する道路」であれば非課税」で紹介しています。

 

「老人福祉施設」に対する非課税

「老人福祉施設」の非課税内容

 「老人福祉施設」の非課税については、地方税法第348条2項十の五に規定されています。

<固定資産税の「老人福祉施設」非課税>
※地方税法348条2項十の五
「2.固定資産税は、次に掲げる固定資産に対しては課することができない。ただし、固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合には、当該固定資産の所有者に課することができる。
……………
十の五 社会福祉法人その他政令で定める者が老人福祉法第五条の三に規定する老人福祉施設の用に供する固定資産で政令で定めるもの」

 ここでは、所有者が「社会福祉法人その他政令で定める者」で、固定資産が「固定資産で政令で定めるもの」とされ、「者」と「もの」それぞれの政令を確認する必要があります。

 まず、「老人福祉施設」で非課税が認められる者は、必ずしも運営主体が社会福祉法人に限りません。
 地方税法施行令第49条の13では、1項で(1)の運営する「者」が、2項で(2)の固定資産が非課税となる「もの」とされています。

(1)運営主体
①社会福祉法人
②社会福祉法人とみなされる農業協同組合連合会
③公益社団法人、公益財団法人、農業協同組合、消費生活協同組合、健康保険組合、国民年金基金、商工組合、医療法人等
④老人介護支援センターの届出をした者

(2)非課税となる固定資産
a.①が経営する養護老人ホーム
b.①②が経営する特別養護老人ホーム
c.①②③が経営する老人デイサービスセンター、老人短期入所施設軽費老人ホーム、老人福祉センター
d.①②③④が経営する老人介護支援センター

 なお、社会福祉法人はそもそも地方税法348条2項十の五で規定されていますので、地方税法施行令では「社会福祉法人以外の者」が規定されています。

<老人福祉施設等の「運営主体」
※地方税法施行令第49条の13第1項
「法第348条第2項第十の五に規定する政令で定める者は、次に掲げる者とする。
1.老人福祉法附則第6条の2の規定により社会福祉法人とみなされる農業協同組合連合会
2.公益社団法人、公益財団法人、農業協同組合、農業協同組合連合会(前号に掲げるものを除く。)、消費生活協同組合、消費生活協同組合連合会、健康保険組合、健康保険組合連合会、企業年金基金、確定給付企業年金法に規定する企業年金連合会、国家公務員共済組合、国家公務員共済組合連合会、国民健康保険組合、国民健康保険団体連合会、国民年金基金、国民年金基金連合会、商工組合(組合員に出資をさせないものに限る。)、商工組合連合会(会員に出資をさせないものに限る。)、石炭鉱業年金基金、全国市町村職員共済組合連合会、地方公務員共済組合、地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団及び医療法人
3.前2号に掲げる者以外の者で老人福祉法第20条の7の2に規定する老人介護支援センターの設置について同法第15条第2項の規定による届出をしたもの」

<老人福祉施設等で「非課税となる固定資産」>>
※地方税法施行令第49条の13第2項
「法第348条第2項第十の五に規定する政令で定める固定資産は、次に掲げる固定資産とする。
1.社会福祉法人が経営する老人福祉法第二十条の四に規定する養護老人ホームの用に供する固定資産
2.社会福祉法人及び前項第1号に掲げる者が経営する老人福祉法第20条の5に規定する特別養護老人ホームの用に供する固定資産
3.社会福祉法人並びに前項第1号及び第2号に掲げる者が経営する老人福祉法第20条の2の2に規定する老人デイサービスセンター、同法第20条の3に規定する老人短期入所施設、同法第20条の6に規定する軽費老人ホーム及び同法第20条の7に規定する老人福祉センターの用に供する固定資産
4.社会福祉法人及び前項各号に掲げる者が経営する老人福祉法第20条の7の2に規定する老人介護支援センターの用に供する固定資産」

 特に「医療法人」(地方税法施行令第49条の13第1項2号の最後尾)が運営する「老人福祉施設等の用に供する固定資産」の非課税については、かなりの市町村で課税誤り(非課税にもかかわらず課税していた)があった、とそれぞれの市町村のホームページで明らかにされています。

 某市町村の発表によりますと、「平成11年度地方税法改正により非課税範囲が拡大した(「医療法人」が追加された)ものの、市町村職員の理解が不十分であったため、非課税にもかかわらず課税を行った」とのことです。

 なお、株式会社が経営する「老人福祉施設」は非課税にはなりません。

「老人福祉施設」に有償で土地を貸すと課税

 ところで、固定資産税が非課税になるのは、運営法人等が固定資産を所有している場合に限りません。土地所有者が、運営法人等の利用の用に供するために土地を無償で貸している場合、その土地も非課税になります。

 ただし、有償で土地を貸している場合は、その土地は固定資産税が課税されます。
 例えば、次の図のように、社会福祉法人(A)が「老人福祉施設」を建設して運営し、その土地を(B)所有者から借りている場合です。

<社会福祉法人が土地を借りている場合>

 
 社会福祉法人が土地と家屋を所有し、目的の用途に沿っていれば、当然、土地、家屋ともに固定資産税は非課税となります。

 しかし、固定資産がその目的以外に使用される場合は、固定資産税は非課税となりません。地方税法348条3項にその「課税規定」があります。

<課税規定-地方税法348条3項>
「3.市町村は、前項各号に掲げる固定資産を当該各号に掲げる目的以外の目的に使用する場合においては、前項の規定にかかわらず、これらの固定資産に対し、固定資産税を課する。」
 
2022/5/14/13:00
 

 

(第21号)物的(用途)非課税の例(1)-私道でも「公共の用に供する道路」であれば非課税

 
(投稿・平成25年-見直し・令和6年7月)

 第13号で、固定資産税の非課税としては、「人的非課税」と「物的非課税(用途による非課税)」があり、「物的(用途)非課税)」として69項目が地方税法上規定されていると紹介しました。

 
 今回は、私道が「物的(用途)非課税)」となる場合の要件等を解説します。

「公共の用に供する道路」は非課税

 道路は通常、国道、県道、市町村道等のいわゆる公道ですので、固定資産税では公道は「人的非課税」になっています。

 それに対して、私道は個人の方の所有土地ですので、一般的には固定資産税の課税対象になります。

 しかし、その私道が「公共の用に供する道路」であれば、非課税になります。

<固定資産税の「私道」非課税>
※地方税法第348条2項5号
「2.固定資産税は、次に掲げる固定資産に対しては課することができない。ただし、固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合には、当該固定資産の所有者に課することができる。
……………
5号 公共の用に供する道路、運河用地及び水道用地」

「公共の用に供する道路」私道とは

 では、「公共の用に供する道路」としての私道とは、どのような道路なのでしょうか。

 「公共の用に供する道路」の形態として、(1)「通り抜け私道」(2)「行止り私道」(3)「コの字型私道」(4)セットバック部分の私道があります。
 なお、(4)のセットバック部分は、道路法の道路又は(1)から(3)の私道と一体となって道路の効用を果たしている土地であることが必要です。

<私道の種類>

(1)通り抜け私道
 起終点が公道に接する幅員1.8m以上で不特定多数人の利用に供されているもの。

(2)行止り私道
 2以上の家屋の用に供されている4m以上で不特定多数人の利用に供されているもの。

(3)コの字型私道
 2以上の家屋の用に供されている4m以上で不特定多数人の利用に供されているもの。

(4)セットバック部分(私道)
 セットバック部分は建築基準法道路の拡幅(私道)部分。

 なお、「セットバック部分」の道路部分が分筆されていれば問題ありませんが、分筆されてない場合でも、地積測量図などの資料を添えて申請すれば、「公共の用に供する道路」として非課税を認めてもらえます。

「公共の用に供する道路」の必要要件

 私道が「公共の用に供する道路」として非課税となるためには、上記(1)~(4)のほかに次の①~⑤の要件が必要です。

登記上分筆され位置が特定されているもの
客観的に道路として認定できるもの
アパート、マンション、貸家、駐車場等における敷地内の道路でないもの
建築敷地として含まれていないもの
賃料、通行料を徴収していないもの

「公共の用に供する道路」は申告が必要

 そして、以上の私道を「公共の用に供する道路」として認めてもらうためには、市町村(東京都23区は都)に申告をする必要があります。

 「住宅用地の減額特例」においても市町村の条例に申告が義務付けられ、申告無しでも適用されますが、「非課税」の場合は申告が無いと認められませんので注意です。

 ここに、例として東京都の非課税に関する条例を紹介します。

<東京都条例・固定資産税に係る非課税申告>
※東京都都税条例施行規則第12条の14
「法第348条第2項本文、法附則第14条又は法附則第41条第8項(固定資産税に係る部分に限る。)の規定の適用を受けるべき者は、土地については第1号、第2号、第5号及び第6号に、家屋については第1号、第3号、第5号及び第6号に、償却資産については第1号及び第4号から第6号までに掲げる事項を記載した申告書を、当該土地、家屋又は償却資産を別の者に無料で使用させている場合には、その旨を証明する書類を当該申告書に添付して、知事に提出しなければならない。
1.住所及び氏名又は名称
2.土地の所在、地番、地目及び地積並びにその用途
3.家屋の所在、家屋番号、種類、構造及び床面積並びにその用途
4.償却資産の所在、種類及び数量並びにその用途
5.当該土地、家屋又は償却資産を法第348条第2項各号、法附則第14条又は法附則第41条第8項に規定する用に供し始めた時期
6.前各号に掲げるもののほか、知事において必要があると認める事項」
 
2022/05/12/10:00