(第48号)固定資産税評価における大規模画地の評価(減価率)について

 
(投稿・平成27年--見直し・令和7年2月)

 今回は、面積が大きい土地(大規模画地)が、固定資産税評価ではどの程度の減価になるか、その上で不動産鑑定評価ではどの程度の減価になるかを(次号)で比較検討していきます。

固定資産税評価による画地計算

 大規模画地は、次のような規模2,040㎡の土地を想定します。なお、この地域の想定標準画地の面積は150㎡と想定します。

<地域条件等の設定>
・ 用途地域   第1種低層住居専用地域
・ 建ぺい率 40% ・ 容積率 80%
・ 接面道路 6m公道  ・ 路線価 210,000円/㎡
 
<大規模画地(想定例)>

標準画地の画地計算

 まず、標準画地の画地計算(1点当り評点数)を行ってみます。

 画地計算の基本は、路線価×奥行価格補正×間口狭小補正×奥行長大補正です。

 210,000円/㎡×奥行価格補正率1.00(普通住宅地区の15m)×間口狭小補正率1.00(普通住宅地区の10m)×奥行長大補正率1.00(奥行/間口1.5)=210,000円/㎡(1点当り評点数)。

 この場合、標準画地でもあるため、1点当り評点数での補正率に変化はありません。

奥行価格補正率表(固定資産税)>

 ※奥行価格補正とは…宅地の価格は、道路からの距離が長くなるにしたがって、また、奥行が著しく短くなるにしたがって減価するため、奥行距離に応じて補正します。

<間口狭小・奥行長大補正率表(固定資産税)>

 ※間口狭小・奥行長大補正とは…間口が一定限度以下の狭小な宅地、又は奥行と間口の関係が不均衡な状態にある画地は、宅地本来の効用を果たすことが困難なため利用価値が減少します。

大規模画地の画地計算

 次に、大規模画地の画地計算です。

 210,000円/㎡×0.86(奥行60m)×1.00(間口34m)×1.00(奥行/間口1.7<2)=180,600円/㎡(1点当り評点数)。

 この結果から、固定資産評価基準の補正率のみの適用では、大規模画地は標準的画地と比べて、▲14%減価となります。

大規模画地の活用例

 設定条件により、この地域は第1種低層住居専用地域の建ぺい率40%、容積率80%、標準的画地(面積)150㎡ですから、標準的使用は戸建て住宅用の敷地です。

 では、大規模画地はどうでしょうか。

 アパート建築が不可能ではありませんが、この土地を最も有効に活用する方法は150㎡程度の土地を12画地に分割して使用することと考えられます。鑑定評価で言う最有効使用の考え方です。

<想定大規模画地の分割>

 この画地分割の例では、12画地を有効な宅地として配置するためには、通路を設ける必要があります。(厳密には隅切りも必要です。)

 ところで、3大都市圏では面積が500㎡以上になると、開発行為となり、それなりの手続き等も必要となります。

 また、総額が大きくなると、個人ではなかなか買うのが難しく、開発業者が主な購入者となります。そうなりますと、市場流通性性が狭く(劣ることと)なり、実際の市場取引では、土地の単価はかなり減価されるのが通常です。

大規模画地の価格形成要因

 ところで、大規模画地とはどのような土地を指すのでしょうか。

 これには、画地規模が社会通念上絶対的に大きい場合と標準的画地規模と比較して相対的に大きい場合が考えられます。

 不動産鑑定評価の場合は、用途別に標準的画地規模を想定し、それとの比較で大規模画地を考えるという相対的な概念として把握するのが一般的です。

 土地の規模が価格へ影響する要因として、質的要因と量的要因が考えられます。

規模格差の質的問題

・潰地等……前号の大規模画地の分割例(下図)のように、標準的画地に分割利用した場合、道路が必要となりますし、更に大きな画地では公園等の公共潰地が生じます。また、造成工事費や負担金等も生じて標準的画地規模よりも価格が下がります。

・用途の多様性、高度利用……規模が大きい場合は、高層マンション、店舗・レジャー施設、学校等への用途の多様性、高度利用が可能となります。

規模格差の量的問題(市場流通性の問題)

 不動産を購入する場合は、総額が予算の範囲内であることが必要になります。

 この場合、単価と総額の問題とも関連してきます。例えば、総額が張るから割安になる、総額が小さいから買い易く割高になるなどです。

 しかし、一般的には総額が大きくなると、個人では手が出ないという面から買い手が限定される、つまり市場性が狭くなる傾向があります。

 もちろん、地価動向や景気状況とも関係する問題でもあります。

2022/05/31/12:00
 

 

(第47号)固定資産税と相続税の宅地評価方法の違い(6)(「大規模画地」)

 
(投稿・令和2年ー見直し・令和7年2月)

 今回は、「大規模画地」における固定資産税と相続税の評価方法の相違についてです。

固定資産税の大規模画地評価

 固定資産税評価では、大規模画地の格差補正は「大規模工場用地の評価」のみとなっています。

 宅地の大規模格差補正については、資産評価システム研究センターにおいて何回か研究が行われていますが、「奥行価格補正率で足りる」との見解が出されています。

 この固定資産評価基準での「大規模工場用地」は、おおむね20万平方メートル以上が「大規模格差補正」のみが認められています。

相続税の大規模画地評価

広大地評価(平成29年12月以前)

 大規模宅地の相続税評価は、課税時期が平成29年12月31日以前の評価方法「広大地の評価」と、平成30年1月1日以降の評価方法「地積規模の大きな宅地の評価」に分かれます。

 広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で、都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められる宅地をいいます。ただし、大規模工場用地に該当する宅地及び中高層の集合住宅等の敷地用地に適している宅地は除かれます。 

 「広大地の評価」は、かなり低目に評価されることから、相続人にとっては有利な制度でしたが、残念ながら平成29年12月31日で終了となりました。 

<広大地の評価>

地積規模の大きな宅地の評価(平成30年以降)

 平成30年からは「広大地」から「地積規模の大きな宅地」と名称が変わりました。
 地積規模の大きな宅地とは、三大都市圏においては500㎡以上の地積の宅地、三大都市圏以外の地域においては1,000㎡以上の地積の宅地をいいます。

 ただし、次のいずれかに該当する宅地は、地積規模の大きな宅地から除外されます。
①市街化調整区域に所在する宅地
②用途地域が工業専用地域に指定されている地域に所在する宅地
③指定容積率が400%(東京都の特別区においては300%)以上の地域に所在する宅地
④財産評価基本通達22-2に定める大規模工場用地

「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地

「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地は、路線価地域に所在するものについては、地積規模の大きな宅地のうち、普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区に所在するものとなります。また、倍率地域に所在するものについては、地積規模の大きな宅地に該当する宅地であれば対象となります。

<地積規模の大きな宅地の評価>

 なお、上記「規模格差補正率」中の(B)及び(C)は、地積規模の大きな宅地の所在する地域に応じて、それぞれ次に掲げる表のとおりです。

<(B),(C)の補正率>

 
2022/5/30/18:30
 

 

(第46号)固定資産税と相続税の宅地評価方法の違い(5)(「がけ地を有する宅地」)

 
(投稿・令和2年-見直し・令和7年2月)

 今回は、「がけ地を有する宅地」の相続税評価と固定資産税評価です。

 「がけ地」で通常の用途に供することができないと認められる部分を有する宅地の価額は、その宅地のうちに存する「がけ地」の部分が「がけ地」でないとした場合に「がけ地補正率」を乗じて計算し評価します。

 相続税評価と固定資産税評価の計算方法は同一ですが、相違点は、相続税の「がけ地補正率表」には「がけ地」の方位区分がありますが、固定資産税の「がけ地補正率表」には方位区分は無く単に「がけ地割合」のみとなっています。

「がけ地を有する宅地」の評価

「がけ地を有する宅地」の計算方法

 「がけ地を有する宅地」の計算方法は次のとおりとなります。
(1)がけ地割合→(2)1㎡当たり表点数(正面路線価×奥行価格×がけ地割合補正率)

「がけ地を有する宅地」の例

<がけ地を有する宅地(例)>

「がけ地を有する宅地」の相続税の計算

 上記の「がけ地を有する宅地(例)」における相続税の評価額を求めます。
◆がけ地割合…がけ地の地積÷総地積
 (8m×20m)÷(20m×26m)=0.31
◆1㎡当たり表点数…正面路線価×奥行26m普通住宅地の奥行価格補正率×がけ地補正率(南方位0.31)
 100,000×0.97×0.88=85,360円/㎡

<がけ地補正率表(相続税)>

固定資産税の評価方法

 上記の「がけ地を有する宅地(例)」における固定資産税の評価額を求めます。
 評価方法は基本的に相続税評価と同じですが、固定資産税の場合は、がけ地補正率表に方位区分が無いところが違います。
◆がけ地割合…がけ地の地積÷総地積
 (8m×20m)÷(20m×26m)=0.31
◆1㎡当たり表点数…正面路線価×奥行26m普通住宅地の奥行価格補正率×がけ地補正率(0.31)
 100,000×0.99×0.85=84,150円/㎡

<がけ地補正率表(固定資産税)>

 
2022/5/30/18:00
 

 

(第45号)固定資産税と相続税の宅地評価方法の違い(4)(「不整形地」)

 
(投稿・令和2年-見直し・令和7年2月)

 今回は「『不整形地』の相続税評価と固定資産税評価」の解説です。
(※不整形地評価の方法として、「奥行距離の異なるごとに区分できる場合」「角地の場合」「二方路地の場合」等がありますが省略します。)

相続税の不整形地評価

 不整形地評価の場合は、相続税評価と固定資産税評価の方法はほぼ同じです。
 両者の相違点は、相続税の不整形地補正率表では地積区分がありますが、固定資産税には地積区分がありません。また、固定資産税では、蔭地割合を適用しない場合の補正率があります。

 相続税の不整形地評価は、次の2式のうち低い方の価額を採用します。
◆路線価×奥行価格補正率×不整形地補正率
◆路線価×奥行価格補正率×間口狭小補正率×奥行長大補正率
 下記の不整形地(評価対象地)の評価額を求めるにあたり、(1)奥行距離(2)奥行価格補正率(3)間口狭小補正率(4)不整形地補正率(5)奥行長大補正率(6)評価額の計算の順で求めていきます。

<不整形地(評価対象地)>

(1)奥行距離

 評価対象地の全体を囲む、正面路線に面する長方形又は正方形の想定整形地を描きます。不整形地の奥行距離は、その想定整形地の奥行距離を限度として、不整形地の地積を実際の間口距離で除して得た数値とします。
◆奥行距離… 480㎡÷20m=24m<25m
 したがって、この不整形地の奥行距離は24mとなります。
奥行距離の例を掲げておきます。

<不整形地>

(2)奥行価格補正率

 奥行価格補正率は、奥行25mの普通住宅地区で0.97です。
◆奥行価格補正率…0.97

<奥行価格補正率(相続税)>

(3)間口狭小補正率

◆間口狭小補正率…1.00

<間口狭小補正率(相続税)>

(4)不整形地補正率

 不整形地補正率を求めるためには、蔭地割合を求める必要があります。
◆蔭地割合…(750㎡ー480㎡)÷750㎡=36.0%
◆不整形地割合(普通住宅地区A)…0.811×1.00(間口狭小補正率)=0.88

<不整形地補正率(相続税)>

(5)奥行長大補正率

◆奥行長大補正率…奥行距離(24m)÷間口距離(20m)=1.2(奥行長大の適用無し)

<奥行長大補正率(相続税)>

(6)評価額の計算

 次の①②で計算した価額のうち低い方の価額で計算します。
①路線価×奥行価格補正率×不整形地補正率
 380,000円×0.97×0.88=324,368円
②路線価×奥行価格補正率×間口狭小補正率×奥行長大補正率
 380,000円×0.97×1.00×1.00=368,600円
 以上から、1㎡当たり評価額は①324,368円<②368,600円から、324,368円となります。
◆評価額…324,368円×480㎡=155,696,640円

固定資産税の不整形地評価

固定資産税の不整形地補正率表

 固定資産税の不整形地評価は基本的には相続税評価と同じですが、固定資産税の場合は、不整形地補正率表において地積区分が無い点に違いがあります。

<不整形地補正率(固定資産税)>

蔭地割合方式によらない場合

 蔭地割合方式によらない不整形地補正率の適用に当たっては、当該画地の所在する用途地区の標準的な画地の規模・形状からみて、不整形度(「普通」から「極端に不整形まで)を判断して、次の表により、不整形地補正率を定めることができます。
 しかし、この蔭地方式によらない評価方法は、全国全ての土地を評価・課税するという固定資産税の性格から、客観的な説明が難しい面もあります。したがって最近では、この評価方法を採用していない市町村も多くあります。(各市町村の「固定資産評価事務取扱要領」を確認する必要があります。)

<蔭地方式によらない場合(固定資産税)>

 
2022/5/30/17:30
 

 

(第44号)固定資産税と相続税の宅地評価方法の違い(3)(「貸家建付地・貸宅地」)

 
(投稿・令和2年-見直し・令和7年2月)

 今回は「貸家建付地・貸宅地」の場合についてです。

貸家建付地と貸宅地とは

 貸家建付地とは、例えば自分の持っている土地に賃貸アパートを建て、その家屋(部屋)を他に貸している場合の、その土地のことをいいます。

 一方、貸宅地とは、借地権など土地の上に存する権利の目的となっている土地をいいます。

<貸家建付地と貸宅地の違い>

 なお、自分自身が土地を使用している場合の評価額を自用地としての価額といいます。

 この貸家建付地と貸宅地の相続税評価は「財産評価基本通達」(略して「評基通」)で評価方法が決められていますが、固定資産税は、土地の上に自分の家屋があっても、また他に貸していて(他人の家屋があって)も、土地はその土地の更地状態(自用地としての価額)で評価し課税されます。

固定資産税の貸家建付地・貸宅地

固定資産税は自用地評価

 固定資産税は土地、家屋、償却資産の3種類からなりますが、それぞれの所有者に課税されます。仮に土地の上に、自分がアパートを建設して賃貸に供している場合や、借地権を設定して貸し付けている場合でも、土地、家屋はそれぞれの所有者に課税されます。

 その場合、所有者は自分の土地を自由に使えないことになりますが、固定資産税の評価は自用地としての評価になります。

貸家建付地・貸宅地と賃料

(1)貸家建付地の場合
 自分の土地にアパートを建てて、賃貸に供している場合は、通常は土地・家屋ともに自己所有ですので、自分に土地・家屋が課税されます。

 土地所有者(=家屋所有者)はアパートの賃借人から賃料を得ることになりますが、このアパートの賃料は、借り主の必要経費の中に家屋の固定資産税も含めて計算されるのが一般的です。

(2)貸宅地(借地権)の場合
 自分の土地を他に貸して(借地)いる場合の土地は所有者に自用地として課税され、土地の上の家屋はその所有者に課税されます。

 土地所有者は借地人から賃料(借地料等)を得ることになりますが、自由に使用・処分をすることができません。固定資産税の場合は、それでも土地は自用地として評価されます。

 しかし、土地所有者は借地人から賃料(地代)を得ることによって、自分が支払う土地の固定資産税額を補うことになります。

相続税評価の貸家建付地

貸家建付地の評価方法

 貸家建付地の相続税評価は、次の計算によります。
・貸家建付地の評価額 = 自用地としての価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

評価額の求め方

・借地権割合……路線価方式の場合は、路線価図にA~Gの記号で、また倍率方式の場合は、評価倍率表に割合で表示されています。

<路線価地域の借地権割合>

・借家権割合……各国税局ごとに定められており、東京国税局管内については、30%とされています。
・賃貸割合……賃貸されている各独立部分の床面積÷当該家屋の各独立部分の床面積の合計(通常は、100/100で構いません)。

相続税評価の貸宅地

貸宅地の評価方法

 貸宅地(借地権の目的となっている宅地)の相続税評価は、次の計算によります。
・貸宅地の評価額=自用地としての価額(1-借地権割合)

評価額の求め方

・借地権の取引慣行がないと認められる地域にある借地権の目的となっている借地権割合は20%とします。

・貸宅地には、上記の「借地権の目的となっている宅地」以外に「定期借地権等の目的となっている宅地」「地上権の目的となっている宅地」「区分地上権の目的となっている宅地」等がありますが、計算方法も異なります。
 
2022/5/30/17:00