(第94号)「空き家対策」の強化へ-「空家対策特別措置法」の改正⇒『管理不全空き家』を創設

 
(投稿・令和5年3月-見直し・令和6年8月)

 政府は増え続ける空き家の問題で、管理が不十分な物件については固定資産税を減額する措置を解除することなどを盛り込んだ「空家対策特別措置法」(以下「空き家法」)を改正することになりました。

 令和5年6月7日の参議院本会議において、「空き家法」の改正法が可決・成立し、施行されています。

 また京都市では、法定外普通税(固定資産税ではない)としての「空き家税」(「非居住住宅利活用促進税」)が検討されていますので、参考までにお知らせします。

これまでの「空き家法」による対応

平成26年に「空き家法」が成立

 空き家対策をめぐっては、平成26年に成立した「空き家法」で、空き家を放置して倒壊の恐れがあるなど特に危険性が高い物件を「特定空家」に指定し、空き家を撤去できるようにしました。

 この「特定空家」に指定されると、固定資産税の住宅用地減額特例(200㎡以下が1/6、200㎡を超える部分が1/3に減額)が解除されることになります。

 

『管理不全空き家』を新設

 しかし、「空き家法」による「特定空家」指定によっても、これまで空き家が増え続けていることから、今回、対策強化を盛り込んだ「空き家法」の改正が行なわれた訳です。

 この改正法では、放置すれば「特定空家」になるおそれがある物件を新たに『管理不全空き家』に指定し、固定資産税の減額措置を解除できるとしています。

 これまでの制度では、空き家でも住宅用地として土地の固定資産税が1/6に減額される続けていることが空き家放置につながっていると指摘されていて、今回の「空き家法」の改正は、所有者に空き家の撤去などの適切な管理を促す狙いとのことです。

 このほか改正法では、「特定空家」を撤去する際の行政の権限を強化することも盛り込まれています。

京都市で「空き家税」を検討

 京都市で、全国で初めての「空き家税」(「非居住住宅利活用促進税」)の創設が検討されています。

 この税は固定資産税とは別に、法定外普通税(市税)として創設されますので、具体的には「京都市非居住住宅利活用促進税条例」によります。
 なお、同条例により、令和8年度以降課税されるとのことです。

 注目すべきことは、今後、他市町村も同様の法定外税を設立するのかどうかです。

 具体的には京都市のホームページ「非居住住宅利活用促進税の導入に向けた取組について」(「京都市情報館」)をご覧ください。

 
2023/03/03/20:00
 

 

(第93号)「わがまち特例」制度とはどのようなものか

 
(投稿・令和5年2月-見直し・令和7年2月)

 聞き慣れない名称かもしれませんが、地方税法の特例で「わがまち特例」という制度があります。この「わがまち特例」とは通称で、正式名は「地域決定型地方税制特例措置」です。

 この「わがまち特例」は、地方税法の定める範囲内で市長村が特例率を条例で定めることができる仕組みとして、平成24年度の税制改正により導入されています。

「わがまち特例」制度とは

 「わがまち特例」は、法律に基づき、国が市長村に対して特例措置の実施を求める場合であっても、市長村の裁量を認めた方が効果的な特例措置については、全国一律の特例措置ではなく、法律の定める範囲で、市長村が特例措置の内容を条例で定めることができる仕組みです。

<地域決定型特例措置>

「わがまち特例」の導入例

 「わがまち特例」は市長村の条例によるものですので、市長村毎に導入されている特例が異なります。

 では、どのようなものが「わがまち特例」なのか、ここに主な導入例を紹介します。
 ※必ずしも、この表で掲げた例が全国の市長村で採用されてはいませんし、逆に、ここに無い制度が導入されている市長村もあります。

<「わがまち特例」導入例>

「わがまち特例」の特例割合

 上記の表(導入例)のとおり、地方税法第349条の3第27~29項及び地方税法附則第15条等により、導入された固定資産税の特例ですが、特例割合(特例率)は市長村の条例により異なっています。

 しかし、地方税法(含む附則)の条文では、表にあるように「参酌率○/○」を示した上で「○/○以上○/○以下の範囲内で市長村の条例で定める」とあることから、多くの市長村ではこの「参酌率」を特例割合としているようです。

 なお「参酌」とは、条例の制定にあたっては、国の法令を十分参考にしてつくるべき、ということです。

 そこで、参考までに「汚水又は廃液処理施設」の条文を掲げます。

<汚水又は廃液処理施設> 
※地方税法附則第15条第2項第1号 
「2項 公共の危害防止のために設置された次の各号に掲げる施設又は設備のうち、令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に取得されたものに対して課する固定資産税の課税標準は、第349条の2又は第349条の3第2項若しくは第3項の規定にかかわらず、当該償却資産に係る固定資産税の課税標準となるべき価格に、それぞれ当該各号に定める割合を乗じて得た額とする。 
 1号 水質汚濁防止法第2条第2項に規定する特定施設又は同条第3項に規定する指定地域特定施設を設置する工場又は事業場の汚水又は廃液の処理施設で総務省令で定めるもの 1/2を参酌して1/3以上2/3以下の範囲内において市町村の条例で定める割合」 

 なお、市町村により導入項目も特例割合も様々ですので、具体的には該当の市町村の条例を確認してください。 

「太陽光発電設備」の特例

 最近では、太陽光発電設備が多くの市長村で設置されていますが、土地(太陽光パネル設置用地)については「その他の雑種地」になります。

 
 しかし、太陽光発電施設は土地だけでなく、土地上に設置されている太陽光パネル等が償却資産として課税されています。

 その償却資産の特例措置として「わがまち特例」が導入されています。

 具体的には、再生可能エネルギー事業者支援事業費の補助を受けて取得した太陽光発電設備及びこれと同時に設置する専用の架台、集光装置、追尾装置、蓄電装置、制御装置、直交変換装置又は系統連続用保護装置が該当します。

 この太陽光発電施設の特例割合は、次の2つに分かれます。

① 出力1千kW未満の設備(地方税法附則第15号第26項第1号イ)
 「固定資産税の課税標準となるべき価格に2/3分参酌して1/2以上5/6以下の範囲内において市町村の条例で定める割合を乗じて得た額」

② 出力1千kW以上の設備(地方税法附則第15号第26項第2号イ)
 「固定資産税の課税標準となるべき価格に3/4を参酌して7/12以上11/12以下の範囲内において市町村の条例で定める割合を乗じて得た額」

※地方税法附則第15号第26項(一部)
「26項 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法第2条第2項に規定する再生可能エネルギー発電設備のうち、同条第3項第6号に掲げる再生可能エネルギー源を電気に変換する設備以外の設備であつて、令和2年4月1日から令和6年3月31日までの間に新たに取得されたものに対して課する固定資産税の課税標準は、第349条の2の規定にかかわらず、当該特定再生可能エネルギー発電設備に対して新たに固定資産税が課されることとなつた年度から3年度分の固定資産税に限り、次の各号に掲げる特定再生可能エネルギー発電設備の区分に応じ、当該各号に定める額とする。 
1号 次に掲げる特定再生可能エネルギー発電設備 当該特定再生可能エネルギー発電設備に係る固定資産税の課税標準となるべき価格に2/3を参酌して1/以上5/6以下の範囲内において市町村の条例で定める割合を乗じて得た額 
イ 太陽光を電気に変換する特定再生可能エネルギー発電設備で総務省令で定めるもので総務省令で定める規模未満のもの 
(中略) 
2号 次に掲げる特定再生可能エネルギー発電設備 当該特定再生可能エネルギー発電設備に係る固定資産税の課税標準となるべき価格に3/4を参酌して7/12以上11/12以下の範囲内において市町村の条例で定める割合を乗じて得た額 
イ 特定太陽光発電設備(前号イに掲げるものを除く。) 
(以下略) 
 
2023/01/20/10:00
 

 

(第92号)物的(用途)非課税の例(4)-「墓地」は非課税、「納骨堂」は多くが課税

 
(投稿・令和5年2月-見直し・令和7年1月)

 固定資産税の物的(用途)非課税の例として、第86号で「宗教法人の境内建物と境内地」を紹介しましたが、今回は、この施設と関係が深い「墓地」と「納骨堂」はどうなのか、についてです。

 

「墓地」は基本的に非課税

 まず、「墓地」は地方税法に非課税規定があり、基本的に非課税となります。

「墓地」の非課税規定

 地方税法348条2項4号には、固定資産税の非課税として「墓地」が規定されています。

 この地方税法348条2項4号では、同項3号の「宗教法人と境内地」の条文とは異なり、運営主体や条件の規定はなく単に「墓地」とだけ規定されているのみです。

 まず、地方税法の非課税規定です。

<「墓地」の非課税>
※地方税法348条2項3号、4号
「3号 宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第三条に規定する境内建物及び境内地(旧宗教法人令の規定による宗教法人のこれに相当する建物、工作物及び土地を含む。
 4号 墓地 」

 固定資産税の物的(用途)非課税は、これらの固定資産が供されている用途の特質にかんがみ非課税とされているもので、基本的には、地方税法で所有者及び固定資産が特定されていない場合は、所有者が誰であろうと非課税とされます。

 多くの市長村では、「墓地、埋葬等に関する法律」に「墓地」の定義がされていることから、この法律に基づく区域にある「墓地」を非課税対象とされています。

<「墓地」とは>
※「墓地、埋葬等に関する法律」第2条
「5項 この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事(市又は特別区にあっては、市長又は区長)の許可を受けた区域をいう。」

 なお、この法律が施行される前から存在する古い「墓地」も、同法の区域に拘わらず非課税とされています。

「納骨堂」は多くが課税

 次に、では「納骨堂」は非課税となるのでしょうか。

「納骨堂」とは何か

 まず「納骨堂」とはどのようなものかです。

<納骨堂とは>
※「墓地、埋葬等に関する法律」第2条6項
「納骨堂とは、他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設をいう。」

 最近では、核家族化や埋葬に対する価値観の多様化によって、「先祖代々の墓」という従来の概念にとらわれることなく、自分のライフスタイルに合ったお墓を求める人が増えてきました。

 近年、じわじわと浸透してきた散骨や樹木葬に続き、「新たなお墓の形」として注目を集めているのが「納骨堂」です。

 「納骨堂」は運営母体によって、寺院が運営する「寺院納骨堂」、自治体が運営する「公営納骨堂」、宗教法人等が運営する「民営納骨堂」の3種類に分けられます。

 なお、「納骨堂」を経営するためには、都道府県知事の許可を受ける必要があります。

<墓地、納骨堂及び火葬場>
※墓地、埋葬等に関する法律第10条
「1項 墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2項 前項の規定により設けた墓地の区域又は納骨堂若しくは火葬場の施設を変更し、又は墓地、納骨堂若しくは火葬場を廃止しようとする者も、同様とする。」

 そこで、問題は「納骨堂」が地方税法348条2項3号の「境内建物及び境内地」に該当するかどうかということになります。

東京地裁(平成28年5月24日)の判決

 東京都が「納骨堂」に対して課税処分した件で、原告(A宗を宗派とする宗教法人)が提訴した、平成28年5月24日に東京地裁判決において、この「納骨堂」に関係する判決が出されています。

(1) 訴訟事案の内容

 この訴訟は、原告・宗教法人が「納骨堂」として使用している土地及び建物に対して、被告・東京都が「寺務所、本堂、庫裏等は非課税とした」が、「参拝堂、納骨堂、客殿等の建物部分及びこれに対応する土地面積相当分については固定資産税を課税する」との賦課決定処分をした、という内容です。

 つまり、「納骨堂」の固定資産税が非課税となる「境内建物及び境内地」に当たるかどうかが争われたものです。

(2) 東京地方裁判所の判断

<地方税法348条2項3号について(判決の一部)>
「地方税法348条2項3号に規定する「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する境内建物及び境内地」とは,次のことを言う。
 ① 当該宗教法人にとって,宗教の教義をひろめ,儀式行事を行い,信者を教化育成するという主たる目的のために必要な,本来的に欠くことのできない建物,工作物及び土地で,同条各号に列挙されたようなものであり、かつ
 ② 当該宗教法人が,当該境内建物及び境内地を,専ら,宗教団体としての主たる目的を実現するために使用している状態にあるものをいうと解すべきであり,当該要件該当性の判断は,当該建物及び土地の実際の使用状況について,一般の社会通念に基づいて外形的,客観的にこれを行うべきである。」

 そして東京地裁は、本件での「納骨堂」は「宗教法人法第3条に規定する境内建物及び境内地には該当しない」と判断しました。

<東京地裁判決(一部)>
「(本件非課税対象外部分)の使用状況を,一般の社会通念に基づいて外形的,客観的にみると,原告は,本件非課税対象外部分につき,A宗の教義をひろめ,儀式行事を行い,信者を教化育成するという主たる目的のために使用していないとはいえないが,当該目的のために必要な,本来的に欠くことのできない建物の一部であると評価することにはやや困難がある。
 また,仮にそのような評価が可能であるとしても,本件「納骨堂」の使用者については宗旨宗派を問わないとされているのみならず,本件建物においては,原告以外の宗旨宗派の僧侶等が主宰する法要などの儀式行事が行われることが許容され,その場合,使用者は原告に対して施設使用料を支払うこととされ,実際にも,それが例外的とはいえない割合で行われており,原告は,上記のような使用者を訴外会社を通じて広く募集していることに照らすと,原告が,上記の各部分(本件非課税対象外部分)を,専ら宗教団体としての主たる目的を実現するために使用している状態にあるとは認められないといわざるを得ない。」

 
 本件の対象となっている「納骨堂」は今後も増加することが予想されますが、現在、東京都だけでなく全国の市長村でも、宗教法人の家屋であっても、「納骨堂」部分は課税対象とされ、土地は家屋内部の課税部分と非課税部分に面積按分のうえ課税されています。

 ところで、「納骨堂」が「専ら宗教団体としての主たる目的を実現するために使用している状態」にあれば非課税となり得ます。

 しかし最近では、本件同様「某宗を宗派とする宗教団体の建物において他の宗旨宗派の僧侶等が主宰する法要等にも使っている納骨堂事業」が多く、課税されている場合が多いのです。
 
2023/01/19/17:00
 

 

(第91号)「空家対策特別措置法」に基づく「特定空家」により土地評価はどうなるか

 
(投稿・令和5年1月-見直し・令和6年8月)

 今回は「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下「空き家法」という)の施行に基づく、全国の空き家の状況と市町村の取り組み状況及び固定資産税の対応についてお知らせします。

全国の空き家の状況

総務省調査による空き家状況

 総務省が5年毎に実施している「住宅・土地統計調査」によると、平成30年調査で、総住宅数6240万7千戸に対して空き家は848万9千戸となっており、空き家率は13.6%となります。この空き家率は、5年前の13.5%から0.1ポイント上昇し、過去最高となっています。

<空き家数及び空き家率の推移>

空き家発生による問題点

 最近では、少子高齢化や核家族化が進み、自宅を空き家にして高齢者施設に入所したり、居住者が亡くなり相続人が放置するといった例が増加しています。

 空き家が発生・増加することによる問題としては次の点があげられます。
防災性の低下(倒壊、崩壊、屋根・外壁の落下、火災発生のおそれ)
防犯性の低下(犯罪の誘発)
ごみの不法投棄
衛生の悪化・悪臭の発生(蚊、蝿、ねずみ、野良猫の発生)
風景・景観の悪化

固定資産税の減免特例も一因

 第5号「固定資産税土地の住宅用地(小規模住宅用地・一般住宅用地)とは何か」で触れたとおり、住宅用地には課税標準の減額特例が定められています。

 
 住宅用地でその面積が200㎡以下のものを小規模住宅用地として課税標準額が1/6に、200㎡を超えるものが一般住宅用地として1/3に減額されます。

 ところが、実際の課税においては、その家屋が人の居住の用に供されていない空き家であっても、住宅用地の特例が適用さているため、これが空き家の解体を妨げているともされています。

 家屋を解体すれば解体費用も掛かるし、土地の固定資産税の減額特例1/6(200㎡以下)が適用されなくなってしまう、であれば家屋の固定資産税を負担してでもそのまま空き家にしておこう、これが空き家増加の一因になっているということです。

平成26年に「空き家法」が成立

「空き家法」の内容

 そこで、平成26年11月に「空き家法」が制定されました。

<目的>
※「空き家法」第1条
「適切な管理が行われていない空き家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空き家等の活用のための対応が必要」

<「空き家法」の概要>

「特定空家」制度が設立

 ところで、「空き家法」第2条には、「特定空家」の定義がされています。

 そこで、「特定空家」とは何かですが、空き家のうち次のいずれかに該当するものをいいます。
そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

 令和元年10月時点で、全国の市町村で約1万6千戸が「特定空き家」等として把握されています。

<特定空家等の定義>
※「空き家法」第2条
「2項 この法律において「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。」

<特定空家等に対する措置>
※「空き家法」第14条
「1項 市町村長は、特定空家等の所有者等に対し、当該特定空家等に関し、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定空家等については、建築物の除却を除く。次項において同じ。)をとるよう助言又は指導をすることができる。
2項 市町村長は、前項の規定による助言又は指導をした場合において、なお当該特定空家等の状態が改善されないと認めるときは、当該助言又は指導を受けた者に対し、相当の猶予期限を付けて、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告することができる。」

地方税法の特例措置が見直し

 「空き家法」の制定を受けて、平成27年5月、地方税法が改正されました。

 その改正により、固定資産の所有者等に対して「空き家法」第14条1項、2項の規定によ特定空家等の勧告がなされた空き家については「住宅用地の課税標準の特例」の対象から除かれることになりました。(地方税法第349条の3の2)

 「住宅用地の課税標準の特例」の対象から除かれる土地とは、次の①②の両方に当てはまる場合になります。
「空き家法」第2条2項に規定される特定空家等であること。
「空き家法」第14条第2項」による勧告が所有者等になされていること。

 この「住宅用地の課税標準の特例」から除外されると、小規模住宅用地(200㎡以下)の特例(6分の1)及び一般住宅用地(200㎡を越える部分)の特例(3分の1)が適用されないこととなります。

※地方税法第349条の3の2
「1.(中略)空家等対策の推進に関する特別措置法第14条第2項の規定により所有者等(同法第3条に規定する所有者等をいう。)に対し勧告がされた同法第2条第2項に規定する特定空家等の敷地の用に供されている土地を除く。(中略)」

空き家対策の市町村の状況

 「空き家法」は平成27年2月に施行されていますが、現在では、全国ほとんどの市町村で「空家等対策計画」が策定されており、また、かなりの市町村で「空家対策条例」が制定されています。

 次に、参考までに「横浜市空家等に係る適切な管理、措置等に関する条例」(令和3年8月1日施行)による「空家対策の流れ」を掲げます。

<空家対策の流れ>

 全国では、周辺の生活環境等に悪影響を及ぼす「特定空家」等について、助言・指導などの措置の件数が年々増えており、令和元年10月1日までの4年半の累計で、助言・指導が17,026件、勧告が1,00件、命令が131件、代執行(行政代執行と略式代執行)が196件となっています。また、「特定空家」等の除却等に至った件数7,552件に及んでいます。

1/6の減額特例が廃止で3~4倍となる

 ところで、一部マスコミ報道の中には、『この減額特例の適用除外により、税負担が6倍になる』とありますが、この『6倍になる』との指摘は正しくはありません。

 1/6を減額適用除外するのはそのとおりですが、これにより非住宅用地の負担調整措置が適用されることになるため、6倍にはなりません。 

 住宅用地から更地(非住宅用地)になった場合、非住宅用地の負担調整措置がありますので、6倍ではなく「3~4倍」になります。

<更地にした場合の比較>

 いま面積が150㎡、固定資産税の価格が120万円の土地に居住用家屋(市街化区域内)があると仮定します。 

 ここで計算の便宜上、課税標準額が上限に達しているとしますと、小規模住宅用地ですので、固定資産税は価格の1/6で20万円×1.4%=2,800円、都市計画税は1/3で40万円×0.3%=1,200円で、合計4,000円の税額となります。 

 この家屋を取り壊して更地にすると、減額特例の適用はなくなり、非住宅用地として評価されることになります。 

 非住宅用地としての税額は、120万円×0.7×1.7%=14,200円(固定・都計税)となります。 

 これを、減額特例の適用税額と比較しますと、14,200円÷4,000円≒3.6倍になり、6倍ではありません。 

 
2023/01/18/14:00
 

 

(第90号)タワーマンション(居住用超高層建築物)の固定資産税家屋の評価方法について

 
(投稿・令和5年1月-見直し・令和6年8月)

 今号は、居住用超高層建築物(分かりやすく以下「タワーマンション」とします)の固定資産家屋の評価方法についての解説です。

 基本的な部分は第64号「区分所有マンションの固定資産税評価について」に基づきますが、タワーマンションの評価においては、その特性(低層階と高層階の取引単価の相違))を考慮して、平成29年の税制改正において、固定資産税の評価方法が見直されました。

 
 なお、本改正による見直しは、平成29年1月2日以後に新築されたタワーマンションの平成30年度分以降の年度分固定資産税に適用されます。
 また、マンション1棟の固定資産税額(総額)は、今回の改正による影響はありません。

タワーマンション評価の見直し

 見直しをされる建築物は、高さが60mを越える建築物(建築基準法令上の「超高層建築物」)のうち、複数の階に住戸が所在している居住用超高層建築物、すなわちタワーマンションとなります。

 中低層の分譲マンションであれば、各共有者の有する専有部分の床面積の割合が同じとすると、原則として、各区分所有者の納付すべき固定資産税額は同額となります。

 しかし、近年では、大都市圏を中心にするタワーマンションにおいては、高層階と低層階について、現実に売買価格等に差異が生じている状況となっています。
 そこで、タワーマンションに係る家屋の固定資産税額についての不公平感を解消することを目的として、専有部分の床面積を階層の差異による床面積当りの取引単価を反映する見直しとなりました。

固定資産税額計算の見直し

 今回のタワーマンション固定資産税の見直しは、①階層別床面積補正率、②階層別専有床面積補正率の計算方法、③居住用以外の部分の計算方法となります。

① 階層別床面積補正率

 タワーマンション全体に係る固定資産税額においては、各区分所有者に按分する際に用いる各区分所有者の専有部分の床面積に、住戸の所在する階層の差違による床面積当たりの取引単価の変化の傾向を反映するための補正率(これを「階層別専有床面積補正率」という)を反映して計算します。

② 階層別専有床面積補正率の計算方法

 階層別専有床面積補正率は、最近の取引価格の傾向を踏まえ、タワーマンションの1階を100とし、階が1つ増えるごとに、これに10/39を加算した数値とされます。したがって、[N階の階層別専有床面積補正率=100+10/39×(N-1)]となります。

 見直し後のタワーマンションの各住戸の固定資産税は、次の算式のとおり計算することになります。
(例)1階に係る固定資産税が100の場合、40階の固定資産税は110となります。

③ 居住用以外の部分の計算方法

 居住用以外の専有部分を含むタワーマンションにおいては、まず当該タワーマンション全体に係る固定資産税額を、床面積により居住用部分と非居住用部分に按分の上、居住用部分の税額を各区分所有者に按分する場合についてのみ、階層別専有床面積補正率を適用します。

④ 天井の高さ、付帯設備の程度等

 上記①から③までに加え、天井の高さ、附帯設備の程度等について著しい差違がある場合には、その差違に応じた補正を行います。

⑤ 区分所有者全員による申出

 上記①から④までにかかわらず、タワーマンションの区分所有者全員による申出があった場合には、その申し出た割合によりタワーマンションに係る固定資産税額を按分することもできます。
 
2023/01/16/12:00