(第88号)固定資産税(都市計画税)が地方税で占める割合は47%

 
(投稿・令和5年9月見直し・令和7年3月)

 今回は、固定資産税・都市計画税が地法税の中でどのような位置づけになっているかを図と表を中心に見ていきます。

固定資産税・都市計画税の概要

 固定資産税・都市計画税の内容については、これまで複数の号で説明してありますので、ここでは一覧表を掲載します。

 固定資産税は、土地、家屋、償却資産から構成されますが、課税客体は、全国で土地が約1億8,042万筆、家屋が約5,880万棟存在しています。
 また、納税義務者は、土地が約4,122万人、家屋が約4,192万人、償却資産が約466万人となっています。
 一方税収は、土地3兆4,853億円、家屋3兆9,578億円、償却資産1兆7,556億円となっており、税収比率は4:4:2の関係になっています。

地方税の中での地位は

 では、固定資産税は地方税の中でどのような地位にあるのでしょうか。

 固定資産税は、令和4年度決算額のうち「国税・地方税の税収内訳」として、地方税合計の20.7%を占め、市町村税においては41.1%、都市計画税と併せると47%を占める基幹的な税であります。

<固定資産税の地方税収の地位(令和4年度)>

 
2022/12/17/16:00

 

(第87号)固定資産税における償却資産とは(申告・評価編)

 
(投稿・令和4年12月-見直し・令和7年3月)

 今回は、第31号「固定資産税における償却資産とは(基本編)」に続く「申告・評価編」になります。

 

申告対象となる償却資産

業種別の主な償却資産

 まず固定資産税の償却資産とはどのようなものか、改めて一般的な償却資産の例を掲げます。

<一般の償却資産の例>

※1 自動車税、軽自動車税の対象となるものは償却資産の申告対象外
※2 建物所有者以外の者で事業の用に供している附属設備は償却資産の申告対象
※3 鑑賞用・興業用の生物は償却資産の申告対象

特殊な申告対象資産

 特殊な資産について、固定資産税の償却資産申告の対象になるかどうかの内容です。
①  簿外資産
 固定資産台帳簿に記載されていない資産であっても、事業の用に供することができるものについては、本来減価償却可能な性質を有しており、申告対象になります。

②  償却済資産
 法人税法、所得税法で減価償却が終了して残存価額のみが計上されている資産についても、その資産が事業の用に供することができる資産であれば申告対象になります。

③  減価償却を行っていない資産
 事業を行っている者が赤字決算、配当政策等のため、減価償却を行っていない場合で、事業の用に供することができる資産であれば申告対象になります。

④  建設仮勘定で経理されている資産
 建設仮勘定の資産は、一般的には稼働できる状態ではないため申告対象ではありませんが、その一部が完成し、その部分が事業の用に供されている場合には、申告対象になります。

⑤  自転車及び荷車
 企業が現に減価償却資産としてその減価償却額又は減価償却費を損金または必要な経費に算入している自転車、荷車は申告対象になります。

⑥  大型特殊自動車
 大型特殊自動車は、本来、建設等のための機械としての効用を発揮することを主目的としていることから、自動車税の課税客体から除外されていますので、償却資産として申告対象になります。

⑦  遊休又は未稼働の資産
 メンテナンス等を行い使用できる状態にある遊休資産や使用予定のある未稼働資産は、その資産が事業の用に供することができる状態にあるものとして申告対象になります。

⑧  福利厚生用資産
 福利厚生用の資産は、本来の事業の用に直接供されていませんが、更衣室のロッカー、社員用食堂の厨房設備等は、事業を行うものとして申告の対象になります。

⑨  租税特別措置法による即時償却等の適用資産
 租税特別措置法の特例を適用して損金算入した資産は、償却資産の申告対象になります。

⑩  取得価額が1点100万円未満の美術品等
 平成27年1月1日以降に取得する美術品等のうち、取得額が1点100万円未満のものについては、減価償却資産として取り扱われます。ただし、1点100万円未満の美術品等であっても、時の経過によりその価値が減少しないことが明らかな資産であれば、減価償却資産としては取扱われません。

申告対象にならない資産

 償却資産の申告対象にならない資産は次のとおりです。

① 自動車税・軽自動車税の課税対象となる自動車
 自動車、原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車に対しては、自動車税又は軽自動車税が課税されているので課税対象から除外されます。

② 無形固定資産
 鉱業権、特許権、ソフトウェア等の無形固定資産は、資産が具体的に存在するものでないため、課税対象から除外されます。

③ 繰延資産
 法人又は個人が支出する費用のうち、支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶもので創立費、開業費、開発費、社債発行費等の繰延資産は、固定資産税の償却資産には含まれません。

④ 少額資産等
(ア) 取得価額が10万円未満又は耐用年数が1年未満のもので、当該資産の取得に要した経費の全額が法人税法、所得税法の規定による所得の計算上一時に損金又は必要経費に算入されるものは、償却資産の申告対象から除外されます。
(イ) 取得価額が20万円未満の償却資産で、事業年度ごとに一括して3年間で減価償却を行うことを選択したものは、課税対象から除外されます。
(ウ) 法人税法第64条の2第1項、所得税法第67条の2第1項に規定するリース資産で、その所有者がリース資産を取得した際における取得価額が20万円未満のものは、償却資産の申告対象から除外されます。

国税との主な違い

 固定資産税の償却資産は、その課税対象として基本的に国税上の有形減価償却資産を想定しています。
 そのため、法人税・所得税の法規と密接な関係がありますが、国税上の有形償却資産が必ずしも固定資産税(償却資産)の課税対象となるわけではありません。

 また、国税と固定資産税(償却資産)の申告を行う納税義務者が一致しない場合や評価の計算方法も異なります。

 ここでは、次表により、国税と固定資産(償却資産)の取扱いが異なる点について説明します。

<国税との主な違い>

※「減価償却の方法」が国税では定額法、固定資産税(償却資産)では定率法ですが、次はそのイメージ図です。なお、固定資産税の家屋の経年減価は定額法です。

償却資産の評価

評価額の計算方法

 償却資産の評価の考え方が、固定資産評価基準第3章第1節第一に次のとおり規定されています。
「償却資産の評価は、前年中に取得された償却資産にあっては当該償却資産の取得価額を、前年中に取得された償却資産にあっては当該償却資産の前年度の評価額を基準とし、当該償却資産の耐用年数に応ずる減価を考慮して価額を求める方法による。」

 申告された資産を1件ずつ資産の取得時期、取得価額及び耐用年数を基本にして計算し評価額を算出します。

①  前年中に取得したもの
    取得価額×前年中取得のものの減価残存率=評価額

②  前年前に取得のもの
 前年度評価額×前年前取得のものの減価残存率=評価額

 以後、毎年この方法により計算し評価額が取得価額の5%になるまで償却します。評価額が取得価額の5%未満になる場合は5%でとどめます。

<「減価残存率表」(rは下記表)>

 
<耐用年数と減価率(r)>

 

(2)価格の決定

 税額=課税標準額×税率(1.4%)
 課税標準額とは、市町村区域内に所在する資産の価格の合計で、150万円未満の場合は課税されません。
 
2022/12/8/15:00
 

 

(第86号)物的(用途)非課税の例(3)-「宗教法人の境内建物と境内地」

 
(投稿・令和4年10月-見直し・令和7年1月)

 固定資産税の非課税については、第13号「固定資産税が課税されない非課税制度とは」で紹介しています。

 
 固定資産税の非課税には「人的非課税」と「物的(用途)非課税」の2種類があります。

 そして、「物的(用途)非課税)」については、地方税法で69項目が列挙されていますが、これまで固定資産税の物的(用途)」非課税の例として、「公共の用に供する私道」と「社会福祉法人等による老人福祉施設」を紹介してきました。

 
 今号では、「物的(用途)非課税」の例(3)として「宗教法人の境内建物及び境内地」について紹介します。

「宗教法人」の非課税の範囲

 「宗教法人」の固定資産税の非課税の範囲は、地方税法348条2項三に規定されています。

<「宗教法人の境内建物及び境内地」の非課税>
※地方税法348条2項三
「2.固定資産税は、次に掲げる固定資産に対しては課することができない。ただし、固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合には、当該固定資産の所有者に課することができる。(中略)
三.宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する境内建物及び境内地(旧宗教法人令の規定による宗教法人のこれに相当する建物、工作物及び土地を含む。)

 では、宗教法人法による宗教団体の定義、境内地建物及び境内地の定義、公益事業その他の事業、に関する規定はどうなっているかです。

宗教団体の定義

 宗教団体の定義は、宗教法人法2条に規定があります。

<宗教団体の定義>
※宗教法人法2条
「この法律において「宗教団体」とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする左に掲げる団体をいう。
一 礼拝の施設を備える神社、寺院、教会、修道院その他これらに類する団体
二 前号に掲げる団体を包括する教派、宗派、教団、教会、修道会、司教区その他これらに類する団体」

 また、同法4条には法人格の定義があります。

<法人格の定義>
※宗教法人法4条
「1. 宗教団体は、この法律により、法人となることができる。
2.この法律において「宗教法人」とは、この法律により法人となつた宗教団体をいう。」

境内地建物及び境内地の定義

 境内地建物及び境内地の定義は、宗教法人法3条に規定があります。

<境内建物及び境内地の定義>
※宗教法人法3条
「この法律において「境内建物」とは、第一号に掲げるような宗教法人の前条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の建物及び工作物をいい、「境内地」とは、第二号から第七号までに掲げるような宗教法人の同条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の土地をいう。
一.本殿、拝殿、本堂、会堂、僧堂、僧院、信者修行所、社務所、庫裏、教職舎、宗務庁、教務院、教団事務所その他宗教法人の前条に規定する目的のために供される建物及び工作物(附属の建物及び工作物を含む。)
二.前号に掲げる建物又は工作物が存する一画の土地(立木竹その他建物及び工作物以外の定着物を含む。以下この条において同じ。)
三.参道として用いられる土地
四.宗教上の儀式行事を行うために用いられる土地(神せん田、仏供田、修道耕牧地等を含む。)
五.庭園、山林その他尊厳又は風致を保持するために用いられる土地
六.歴史、古記等によつて密接な縁故がある土地
七.前各号に掲げる建物、工作物又は土地の災害を防止するために用いられる土地」

公益事業その他の事業

 宗教法人法6条には、宗教法人は公益事業を行うことができる旨の規定があります。

<公益事業その他の事業>
※宗教法人法6条>
「1.宗教法人は、公益事業を行うことができる。
2.宗教法人は、その目的に反しない限り、公益事業以外の事業を行うことができる。この場合において、収益を生じたときは、これを当該宗教法人、当該宗教法人を包括する宗教団体又は当該宗教法人が援助する宗教法人若しくは公益事業のために使用しなければならない。」

お寺の駐車場も非課税

 以上、宗教法人法の規定を紹介してきましたが、では、次の図のようなお寺の駐車場はどうでしょうか。

 この駐車場は参詣者用ですので、お寺の宗教法人が「もっぱらその本来の用に供する土地」として非課税となります(但し、有料ではないことが必要です)。

 
2022/10/30/19/00
 

 

(第85号)土地と家屋の価格に不服がある場合の「審査の申出」について

 
(投稿・令和4年9月-見直し・令和7年3月)

 今回は、固定資産税の土地と家屋の価格に不服がある場合の、「審査の申出」の手続き及び流れについて説明します。

 これまでも、価格に不服がある場合の手続きについては(部分的ですが)説明してきました。

 
 第60号では、価格に不服があるからとしても、安易に「審査の申出」を行うのではなく、まずは課税庁に評価内容を問い合わせて、納得できるかどうかを確認すること。そして、その過程の中で「課税誤り」も見つかることがあることも説明してきました。

 しかし、「審査の申出」は、地方税法上で「審査申出前置主義」として、訴訟を提起する前提の原則的手続きとなっていますので、この内容は理解しておかなければなりません。

 そこで今号では、今まで触れてこなかった部分について解説することとします。

固定資産評価審査委員会とは

 固定資産税の「審査の申出」は、納税者で固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合は、納税通知書の交付を受けた日の翌日から起算して3ヵ月以内に、文書をもって固定資産評価審査委員会(以下「審査委員会」)に「審査の申出」をすることができます。(地方税法432条1項)

<固定資産課税台帳に登録された価格に関する審査の申出>
「地方税法第432条1項」
「固定資産税の納税者は、その納付すべき当該年度の固定資産税に係る固定資産について固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合においては、第411条第2項の規定による公示の日から納税通知書の交付を受けた日後3月を経過する日までの間において、文書をもつて、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる。(中略)」

固定資産評価審査委員会の設置

 固定資産課税台帳に登録された価格に関する不服を審査決定するために、市町村に審査委員会を設置することとされています。

<固定資産評価審査委員会の設置、選任等>
「地方税法第423条1項」
「固定資産課税台帳に登録された価格に関する不服を審査決定するために、市町村に、固定資産評価審査委員会を設置する。」

 そこで、なぜ審査委員会の制度が採用されているかですが、平成2年の最高裁(小法廷)判決では、次の説明があります。

<最高裁小法廷判決(平成2年1月18日)>
「法が固定資産登録価格についての不服の審査を評価、課税の主体である市町村長から独立した第三者機関である委員会に行わせることとしているのは、中立の立場にある委員会に固定資産の評価額の適否に関する審査を行わせ、これによって固定資産の評価の客観的合理性を担保し、納税者の権利を保護するとともに、固定資産税の適正な賦課を期そうとするものであり…」

審査委員の定数及び選任

 審査委員会の委員の定数は3人以上ですが、具体的には市町村の条例で定めることとされています。

<審査委員会の委員の定数>
「地方税法第423条2項」
「固定資産評価審査委員会の委員の定数は3人以上とし、当該市町村の条例で定める。」

 そこで、主な大都市の条例(施行規則)を調べてみますと、「定数は○名(以内)」と様々な人数となっていますが、審査(審査委員会)は3人の合議体で行われています。

 合議体は事案ごとに構成され、審査委員会が指定する者1人が審査長となり、議事は合議体を構成する委員の過半数(2人以上)をもって決定されます。

<審査委員会の委員の選任>
「地方税法第423条3項」
「固定資産評価審査委員会の委員は、当該市町村の住民、市町村税の納税義務がある者又は固定資産の評価について学識経験を有する者のうちから、当該市町村の議会の同意を得て、市町村長が選任する。」

 この「市町村税の納税義務がある者」ですが、その市町村に納税義務を負う者であれば、税目は固定資産税には限られません。

「審査の申出」ができる者

 「審査の申出」が出来る者(審査申出人)は、固定資産税の納税者(課税年度の賦課期日である1月1日現在の固定資産の所有者)で、固定資産課税台帳に登録された価格に不服がある者です。

 ただし、次の事項に注意する必要があります
(1) 借地人や借家人等の利害関係人は審査申出人となることはできません。
(2) 納税管理人も代理人でないかぎりは審査申出人とはなりません。
(3) 固定資産を共有している場合、共有者は単独で審査申出をすることができます。
(4) 区分所有家屋の場合、各区分所有者は単独で「審査の申出」をすることができます。
(5) 「審査の申出」は代理人によってもすることができます。ここでの代理人は、弁護士、税理士、公認会計士等には限られてはいません。

審査申出の流れ

審査申出書の形式審査

 審査申出書が提出されると、不服の内容を審査する前に、まず必要な添付書類があるか、期間内に提出されたものであるかなど、適法な形式を備えているかが審査されます。
 例えば、審査申出期間後に提出された審査申出書等は不適法となるため、却下となります。

 合議体による1回目の審査委員会を開催し、審査の申出の内容が適法であるか審査し、受理または却下を決定します。却下となった場合、内容の審査は行われません。

「審査の申出」の実質審査

(1) 審査委員会は審査申出書を受理したら、審査申出書の副本を評価庁(評価・課税部局)に送付します。
(2) 審査委員会は評価庁へ「弁明書」の提出を求めます。そして提出された「弁明書」の副本を審査申出人へ送付します。
(3) 審査申出人は反論がある場合、「反論書」を審査委員会へ提出します。
(4) 審査申出人は、希望をすれば審査委員会に対して、口頭で意見を述べることができます(「口頭意見陳述」)。
(5) また、審査委員会は、必要に応じて、実地調査等を行います。

「審査の申出」の審査決定

 審査委員会は、弁明書、反論書、実地調査、口頭意見陳述などを経て、審査の申出にかかる事案の適正な価格(評価額)の適否を判断します。

 そして、審査決定には「却下」、「棄却」、「認容」の3種類があります。

「却下」(審査の不受理)

 内容の審査に入らず不受理となるものです。受理後審査途中であっても、価格(評価額)の修正があり、審査の申出目的の一部又は全部が消滅したときは不適法となり、一部又は全部却下となります。

「棄却」(主張を退ける)

 審査申出人の主張は、価格(評価額)を修正すべき正当な理由にはあたらないとして、主張を退けることです。

「認容」(主張を認める)

 審査申出人の主張の一部または全部を認め、価格(評価額)を修正することです。
 審査委員会は審査決定のあった日から10日以内に審査申出人及び評価庁に決定書を通知します。

「審査の申出」決定までの期間

 審査委員会が「審査の申出」を受けて審理をし決定するまでの期間がどのくらいかかるかは、事案毎に内容が異なるため一概には言えません。
 ただし、上記で説明したとおり、審査は形式審査のみならず実質審査や現地調査も行うこととなると、それなりの期間を要することになります。

 いくつかの市町村のホームページを見ると、次のようなコメントが掲載されています。
『委員会では、できるだけ早期に審査の決定を行うよう審理手続を進めますが、審理手続には慎重を期する必要があり、決定までに時間がかかることがありますのでご了承ください。』

 ところが、地方税法では「申出を受けた日から30日以内に審査の決定をしなければならない」と規定されています。また、「30日以内の決定がないときは、却下の決定があったとみなされます」。そうしますと、審査申出人にもよりますが、その「却下決定」に不服があるとして、取消訴訟を提起することも出来る訳です。

 この地方税法の趣旨は、「速やかに納税者の不服を処理すること」にありますが、実務的には30日以内に決定が可能となるケースは「審査を経た却下」程度で、実質審査を経る審査は数ヶ月(以上)はかかるのが通常です。
 
2022/09/28/21:00
 

 

(第84号)「建築設備」以外の家屋と償却資産の区分について

 
(投稿・令和4年9月-見直し・令和7年3月)

 償却資産については、第31号「固定資産税の償却資産とは(基本編)」と第66号「家屋と償却資産の二重課税(課税誤り)に注意(「建築設備」の場合)」で、お知らせしてきました。

 

償却資産の定義と範囲

 
 今回は、「建築設備」以外の家屋と償却資産との区分についてですが、改めて固定資産税の償却資産とは何かについて確認しておきます。

<固定資産税の償却資産とは>
「土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産で、その減価償却額(又は減価償却費)が法人税法(又は所得税法)の規定による所得の計算上損金(又は必要な経費)に算入されるもののうち、その取得価額が少額である資産その他の政令で定める資産以外のものをいう(中略)」

(1)「事業の用に供する」とは

①  「事業」とは
 一定の目的のために一定の行為を継続、反復して行うことをいうものであって、必ずしも営利又は収益そのものを得ることを直接の目的とするものである必要はありません。

②  「事業の用に供する」とは
 その本来業務に直接使用するもののみならず、その事業について直接であると間接であるとを問わず使用される資産で税務会計上減価償却できるものであれば、償却資産として課税客体となります。

※(例)企業の福利厚生施設(医療施設、食堂施設、寄宿舎、娯楽施設等)等

(2)「事業の用に供することができる」とは

 「事業の用に供することができる」とは、現に事業の用に供している資産が含まれることはもちろん、事業の用に供する目的をもって所有され、かつ、それが事業の用に供することができると認められる状態にあれば足ります。

※「遊休・未稼働資産」…いつでも稼働し得る状態にあるものは課税客体となります。
※「用途廃止資産」…解体等されていないだけで、今後も使用されないものは課税客体とはなりません。

(3)「損金(又は必要な経費)に算入されるもの」とは

 その減価償却費が現に損金(又は必要な経費)に算入されない資産であっても、本来損金(又は必要な経費)に算入されるべき性格のものであれば課税客体となります。

※(例)簿外資産、償却済資産、建設仮勘定中の資産で事業の用に供している資産等

家屋と償却資産の区別

 まず「建築設備以外の家屋と償却資産の区別」表を掲げます。

<建築設備以外の家屋と償却資産の区別>

 「建築設備」以外の家屋については、「建築設備」と償却資産の二重課税と比較すると課税誤りは少ないと思われますが、むしろ逆に、その部分が固定資産税の償却資産に該当することに気がついていない=「無申告」の場合が多いのではないかと推測されます。
 
2022/09/09/13:00