(投稿・平成25年-見直し・令和6年7月)
前号(第13号)で固定資産税の「非課税」について解説しましたが、今回は「減免」と「課税免除及び不均一課税」についてです。
非課税は市町村がそもそも「課税することが法律で禁止されている」制度でしたが、では、減免はどのような制度なのでしょうか。
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「減免」の要件は何か
「減免」は、市町村で課税権が行使された後に、納税者の申請に基づき、担税力が薄弱なこと(納税資力が充分でない)等の理由により、税額の全部又は一部が免除される制度です。
そして、この減免規定の趣旨は、徴収猶予や納期限の延長等によっても納税が困難であると認められるような担税力が薄弱な者等に対する救済措置として設けられています。
<固定資産税の減免>
※地方税法第367条
「市町村長は、天災その他特別の事情がある場合において固定資産税の減免を必要とすると認める者、貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者その他特別の事情がある者に限り、当該市町村の条例の定めるところにより、固定資産税を減免することができる。」
固定資産税の「減免」は、具体的には各市町村の条例により定められていますが、概ね次の4つの形態に基づき定められているのが一般的です。
① 天災その他特別の事情がある場合において減免を必要と認める者
② 貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者
③ その他特別の事情がある者(公益上の事由も含む)
④ 公益のために直接専用する固定資産(有料で使用するものを除く)
「減免」内容は各市町村の条例で規定されていますので、若干条例内容が異なりますが、上記①~④の基本的事項は適用されています。
「課税免除及び不均一課税」とは
ところで、地方税法には、「非課税」「減免」のほかに「課税免除及び不均一課税」という制度があります。
<公益等に因る課税免除及び不均一課税>
※地方税法第6条
「1項.地方団体は、公益上その他の事由に因り課税を不適当とする場合においては、課税をしないことができる。
2項.地方団体は、公益上その他の事由に因り必要がある場合においては、不均一の課税をすることができる。」
この第1項の「課税免除」は「減免」と似ていますが、「減免」は一旦賦課決定されたものに対してですが、「課税免除」は市町村の条例・議会の議決により単独で判断・決定されます。
また、第2項の「課税免除及び不均一課税」は、政策目的や税負担の均衡等の「公益性」に着目したものです。
では「課税免除」が適用されている例ですが、「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」や「地域未来投資促進法」に基づき適用している市町村があります。
また「不均一課税」では、「国際観光ホテル整備法」や(県税による)「半島振興法における固定資産税の不均一課税」などがあります。
2022/5/5/14:00
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