(投稿・平成25年-見直し・令和6年7月)<100号達成時の閲覧数5位>
今号は、固定資産税の土地の地目認定はいかに行うか、についてです。
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地目とは(地目の定義)
地方税法での地目
まず地方税法で、固定資産税の土地とは何かということです。
<用語の意義(土地)>
※地方税法341条1項2号
「土地とは、田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、山林、牧場、原野その他の土地をいう」
ここでお分かりのように、地方税法では「土地とはどういうものか」という定義がされているのではなく、土地の利用面からの分類、すなわち土地の地目を掲げた条文となっています。
固定資産税の土地の評価は地目ごとに行います。
また、固定資産評価基準にも土地の地目が定められています。
<固定資産評価基準の地目>
※固定資産評価基準第1章第1節
「土地の評価は、次に掲げる土地の地目の別に、それぞれ、以下に定める評価の方法によって行うものとする。この場合における土地の地目の認定に当たっては、当該土地の現況及び利用目的に重点を置き、部分的に僅少の差異の存するときであっても、土地全体としての状況を観察して認定するものとする。
(1)田、(2)畑、(3)宅地、(4)鉱泉地、(5)池沼、(6)山林、(7)牧場、(8)原野、(9)雑種地」
地方税法の定義と固定資産評価基準を比べると、若干の違い(塩田が無くなって池沼が入り、その他の土地=雑種地が入っている)がありますが、ほぼ同じ地目となっています。
この中で中心となる地目は、宅地、田、畑、山林あたりですが、もう一つ雑種地、実はこの雑種地が固定資産税評価の中ではかなり重要な地位を占めています(雑種地については、後日解説します。)
不動産登記法での地目
ところで、地方税法と固定資産評価基準では地目の意義の定義がされていませんが、定義等は不動産登記法の地目と同じで、具体的には不動産登記事務取扱手続準則の定める通りとされています。
そこで、不動産登記事務取扱手続準則の定める地目を掲げます。
<不動産登記法の地目>
※不動産登記事務取扱手続準則第68条
「 次の各号に掲げる地目は、当該各号に定める土地について定めるものとする。この場合には、土地の現況及び利用目的に重点を置き、部分的にわずかな差異の存するときでも、土地全体としての状況を観察して定めるものとする。
(1) 田 農耕地で用水を利用して耕作する土地
(2) 畑 農耕地で用水を利用しないで耕作する土地
(3) 宅地 建物の敷地及びその維持若しくは効用を果すために必要な土地
(4) 学校用地 校舎、附属施設の敷地及び運動場
(5) 鉄道用地 鉄道の駅舎、附属施設及び路線の敷地
(6) 塩田 海水を引き入れて塩を採取する土地
(7) 鉱泉地 鉱泉(温泉を含む。)の湧出口及びその維持に必要な土地
(8) 池沼 かんがい用水でない水の貯留池
(9) 山林 耕作の方法によらないで竹木の生育する土地
(10) 牧場 家畜を放牧する土地
(11) 原野 耕作の方法によらないで雑草、かん木類の生育する土地
(12) 墓地 人の遺体又は遺骨を埋葬する土地
(13) 境内地 境内に属する土地であって、宗教法人法(昭和26年法律第126号)第3条第2号及び第3号に掲げる土地(宗教法人の所有に属しないものを含む。)
(14) 運河用地 運河法(大正2年法律第16号)第12条第1項第1号又は第2号に掲げる土地
(15) 水道用地 専ら給水の目的で敷設する水道の水源地、貯水池、ろ水場又は水道線路に要する土地
(16) 用悪水路 かんがい用又は悪水はいせつ用の水路
(17) ため池 耕地かんがい用の用水貯留池
(18) 堤 防水のために築造した堤防
(19) 井溝 田畝又は村落の間にある通水路
(20) 保安林 森林法(昭和26年法律第249号)に基づき農林水産大臣が保安林として指定した土地
(21) 公衆用道路 一般交通の用に供する道路(道路法(昭和27年法律第180号)
による道路であるかどうかを問わない。)
(22) 公園 公衆の遊楽のために供する土地
(23) 雑種地 以上のいずれにも該当しない土地」
固定資産税の地目は9種類ですが、不動産登記法ではそれよりはるかに多い23種類です。
地目の認定は「現況主義」
地目認定の時期と取扱い
まず、地目認定の時期ですが、固定資産税の賦課期日が1月1日とされており、地目の認定も1月1日現在の土地の現況や利用目的を重視することから1月1日現在の認定となります。
<固定資産税の賦課期日>
※地方税法第359条
「固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とする。」
次に認定の取扱いですが、固定資産税の土地評価上の地目の認定は現況の地目「現況主義」によります。
では、土地の地目が登記簿と現況が異なる場合は、どうなるのでしょう。
例えば、登記簿上の地目が「山林」となっているのに、実際には家屋が建っている土地の場合ですが、この土地の固定資産税の地目は、「現況主義」によって「宅地」と認定されます。
地目認定の単位
地目認定の単位は、原則として1筆ごとに行います。
ただし、地目は土地の現況や利用目的に重点を置いて認定しなければならないものであり、部分的に僅少の差異があるときでも土地全体としての状況を観察して行います。
また、1筆の土地が相当の規模で、2以上の全く別の用途に利用されている場合(例えば、1,000㎡の土地の700㎡が畑、300㎡が宅地として利用されているような場合)には、これらの利用状況に応じて区分して、それぞれの地目を定めることになります。
地目認定の実地調査
ところで、このように「現況主義」とされているのは、土地の面積の場合は現地調査で見ただけでは判断できませんが、地目は現地調査で認定することが比較的容易であるからです。
では、固定資産税を担当する市町村の職員は、どの程度の実地調査を行っているのでしょうか。地方税法で「毎年少なくとも一回実施」との規定があります。
<固定資産税の実地調査>
※地方税法408条
「市町村長は、固定資産評価員又は固定資産評価補助員に当該市町村所在の固定資産の状況を毎年少なくとも一回実地にさせなければならない。」
「固定資産評価員」及び「固定資産評価補助員」とは、いずれも市町村の固定資産税を担当する職員のことですが、「評価補助員」は担当者全員がなります。また、「評価員」はそのセクションの長があたるのが普通ですが、その市町村の議会での同意が必要とされています。(「評価員」が置かれていない市町村もあります。)
一般的に、固定資産の実地調査は、申請や問題がある都度行う「随時調査」と、所管地域を一斉に行う「定期調査」が考えられますが、408条は「定期調査」に係る規定です。
土地の評価替えは3年に1度であるため、実務上は3年単位で評価替えスケジュールが組まれるため、多くの市町村では「定期調査」もこの中で組み込んで行われるのが一般的ではないかと思います。
不動産鑑定評価での地目認定
不動産鑑定評価では、土地の種別(地目とは言いません)は、その属する地域の種別に応じて分類される土地の区分となります。
土地の種別は宅地、農地、林地、見込地、移行地に分けられます。
これらは、さらに地域の種別の細分化に応じて、例えば宅地でしたら、住宅地、商業地、工業地等に細分されます。
例えば、市街化区域で駐車場に利用されている土地は、固定資産税評価では雑種地評価ですが、不動産鑑定評価では宅地評価を行う場合もあります。
不動産鑑定評価では、一般的要因を始めとして、地域要因及び個別的要因を分析した上で、その土地の最有効使用が住宅用の土地と判断されるか、という手順を経る必要があります。
2022/5/7/14:45
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