(第25号)固定資産税の評価・課税誤りがなぜ発生するのか

 
(投稿・平成25年4月-見直し・令和7年2月)

 今回は、固定資産税の評価・課税誤り(以下単に「課税誤り」とします)がなぜ発生するのかの主たる原因です。

土地評価の「課税誤り」

住宅用地の特例(減額)の見落とし

 土地の評価では、地目認定は現況利用から判断されますので、現地調査を行うことにより外見からも判断できるため、家屋と比べて「課税誤り」は少ないと言えます。

 しかし土地の中でも、住宅用地は200㎡までが6分の1(200㎡を超える部分は3分の1)に減額されるのですが、それが見落とさている場合があります。

 例えば、アパートの隣地が駐車場である場合、その駐車場をアパートの居住者が利用しているのであれば、一体画地として6分の1(3分の1)になるべきですが、雑種地として課税されている場合が見られます。

 このような場合、外観からどのように使用されている土地か判断が難しいため、市町村では、条例で「申告」を義務づけていますが、仮に「申告」がなくても住宅用地であるか否かを市町村が判断しなければならないとされています。

 これは固定資産の土地と家屋は「賦課課税方式」であることから、「申告が無いからといって住宅用地を否定するものではない」との見解が正式なものとなっているからです。

 

非課税項目の見落とし

 土地の非課税としては、国道、県道等の「人的非課税」と、土地の用途によって非課税とされる「物的(用途)非課税」があります。この後者の「物的(用途)非課税」は地方税法で69項目が限定列挙されていますが、この非課税を見落としている「課税誤り」があることが、ときどき報道されています。

 

家屋評価の「課税誤り

「再建築価格方式」の複雑さ

 家屋は土地と比べても「課税誤り」が多いと言えます。

    家屋は新築時に評価されれば、その後は増改築等が無い限り、その評価により経年減価等により在来家屋として評価・課税されていきますので、問題は「新築時の評価に誤りがあるかどうか」ということになります。

  家屋の評価は「再建築価格方式」によりますが、固定資産評価基準(家屋編)や各市町村の固定資産評価事務取扱要領(名称は市町村により異なります)に詳細な基準が定められています。実は、その複雑な基準が、家屋の「課税誤り」の原因となっているとも言えます。

家屋担当者の異動による

 このように家屋の評価は「再建築価格方式」という複雑な評価方法なのですが、肝心な市町村の担当者が4~5年で異動することにより、十分な対応が出来ないという問題もあります。

 当然、総務省や一般財団法人資産評価システム研究センターにより職員向けの研修が行われています。
 また、大都市では家屋専門職が配置されたり、例えば「家屋評価センター」などの組織が設置されている場合もあります。

 しかし、肝心なことは、いかに「家屋評価の簡素化」を実現すかということになります

家屋と償却資産の二重課税

 償却資産は、土地と家屋の「賦課課税方式」と異なり、所有者からの申告に基づいて課税される「申告課税方式」です。

 そこで、「課税誤り」があるとすると、家屋と償却資産の二重課税があり得るということです。

 家屋として評価されているのに償却資産として申告していて、市町村でも気づかずに二重課税がされている状況ですが、この二重課税が意外と多いのです。

※「課税誤り」については重要な問題(テーマ)でありますので、今後折に触れ解説していきます。
 
2022/5/16/18:00
 

 

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