(投稿・平成27年5月-見直し・令和6年7月)
TVニュースで「固定資産税の住宅用地特例の課税誤り」が度々報道されています。(平成27年8月10日)
第5号「固定資産税土地の住宅用地(小規模住宅用地・一般住宅用地)とは何か」と第26号「固定資産税の課税誤りは全市町村の97%-潜在的には更に多い」で固定資産税の住宅用地特例と課税誤りについて紹介してきましたが、今回は住宅用地の課税誤りと「分かりにくい住宅用地」例についてお知らせします。
住宅用地の特例とは(再掲)
改めてですが、住宅用地の特例とは、居住用の家屋の敷地とされている土地の200㎡以下の部分(小規模住宅用地)の固定資産税評価額が6分の1に,200㎡を超える部分(一般住宅用地)が3分の1に減額される(上限は家屋面積の10倍)ことです。
つまり、この特例措置の課税誤りとは、本来は住宅用地であるにもかかわらず、減額がされずに課税され続けてきたということです。
一体、なぜ住宅用地の特例措置の適用誤りが、このように続出するのでしょうか。
住宅用地特例の課税誤りの原因
市町村の手続きミス
ここで、土地の所有者が、その土地上に居住用の家屋を新築し、登記所へ不動産登記を申請します。
そして、登記所でその家屋の表示保存登記を行うとともに、所在地の市町村へ新築登記がされた旨の連絡をします。
その場合、市町村では実地調査を経て家屋の評価を行い、翌年度から家屋の固定資産税を新規に課税することになります。
そのとき本来であれば、土地の評価額を6分の1にしなければなりませんので、家屋の担当者から土地の担当者に連絡し、土地担当者が住宅用地として手続き(電算入力等)をすることになります。
ところが、土地への住宅用地の適用(電算入力)を怠り、その後も点検されないまま課税誤りが続いてきたということです。
この「誤りの原因」として、平成27年1月27日付“つくばみらい市”の「固定資産税・都市計画税の課税誤りについて」では、
a. 家屋担当と土地担当の連携不足(情報伝達漏れ)
b. 電算入力の漏れ、電算入力の誤り
c. 電算入力後の確認体制不備
の3点があげられています。
まさに、この発表のとおりです。
住宅用地かどうか分かりにくい
ところで、上記の「誤りの原因」は、明らかに市町村の手続きミスということになりますが、実は、住宅用地の減額特例はこのようなパターンに限られません。
ここでは、一見して住宅用地かどうか分かりにくい、次の事例①及び事例②の2つのパターンをご紹介します。
<事例①(アパートの駐車場)>
このパターンは、住宅用地を見逃し易い典型例として説明されますが、アパートの敷地の隣に駐車場があり、その駐車場はアパート住民が利用している駐車場である場合です。
アパート敷地と駐車場とは地番が異なっている(筆が分かれている)場合もありますが、その場合でも駐車場敷地はアパートと一体の画地と認定され、住宅用地の軽減特例(6分の1)の対象になります(敷地が離れている場合は該当しません)。
特にアパートの場合は1戸(部屋)につき200㎡が小規模住宅用地とされますので、かなり敷地が広くても敷地全体が6分の1に適用される可能性があります。例えば、そのアパートが8戸であれば、1600㎡までが小規模住宅用地となります。
<事例②(店舗廃業の居住用家屋)>
近年では、シャッター通りと称されるように、店舗を閉店(廃業)した商店街も多く見受けられますが、店主は店舗を閉じた後もそこで居住し続ける場合が多く見られます。
このような場合、店舗経営時の家屋の用途は「店舗」であり、土地は商業地(非住宅用地)で6分の1の減額特例はありません。しかし、店舗廃業後は居住用に変更したことから、住宅用地となり減額特例の対象となります。
実は、この事例①及び事例②では、外観からは一見住宅用地かどうか判断つきにくい場合があります。
そのため、市町村では住宅用地の認定のために「住宅用地異動申告書」の提出を義務づけています。
しかし、固定資産税(土地と家屋)については、行政が一方的に評価し課税する方法(「賦課課税方式」)ですので、例え申告がされなくても、住宅用地と認定すべきところをそうしていなかったときは、「行政の課税誤り」ということになります。
2022/5/25/21:00