(投稿・令和6年4月-見直し・令和6年8月)
今回は、令和6基準年度に改正された家屋の再建築費基準表、その中でも用途別区分と部分別区分の整理・統合を紹介します。
家屋評価はなぜ難しいのか
固定資産税の家屋評価は「再建築価格方式」が採用されており、これは実際にその家屋をいくらで建築したのか、あるいはいくらで取得したのか(取得費)とは異なるものです。
あくまでも、固定資産評価基準により決められた再建築費基準表により再建築評点数を算出し評価計算をします。
とにかく固定資産税家屋の評価で一番難しいのは、固定資産評価基準の再建築費基準表により新築時の再建築費評点数を算出することなのです。
なお、第39号「家屋評価「再建築価格方式」の複雑な評価方法について(1)」及び第40号「家屋評価「再建築価格方式」の複雑な評価方法について(2)」で、令和3基準年度における「再建築価格方式」を説明しています。
ところで、なぜ新築時の家屋評価が難しいのか、第111号「固定資産税の家屋がなぜ分かりにくく「課税誤り」が多いのか」から一部を再掲します。
「再建築費評点数」を求めるためには「当該新築家屋の内容を把握する」ことが必要になるため次の作業を行います。
① 家屋所有者に調査協力を依頼し、新築家屋の見積書や竣工図等を借用し情報を取得します。
② 実際に当該家屋に赴き、用途別区分とともに家屋の外観や内部の使用資材等を確認します。
③ 借用・保存した見積書等から評価基準の部分別区分に照らして、必要な資材を拾い出し部分別分類を行います。.
④ その上で、市町村が有する評価システムに評価基準の評点項目と使用資材量の数値を入力して評点数を算出します。
いかがでしょうか、大変ですが評価基準による再建築価格方式は、このような手順が必要とされているのです。
令和6基準年度の用途別区分
家屋は、固定資産評価基準で木造家屋と非木造家屋とに区分され、その木造、非木造家屋それぞれに、再建築費評点基準表による用途別区分と部分別区分が規定されています。
まず用途別区分ですが、令和3基準年度では木造家屋が13種類、非木造家屋が9種類に分類されていましたが、令和6基準年度では木造家屋が7種類、非木造家屋が9種類に整理統合されています。
木造家屋の用途別区分
木造家屋の用途別区分では、「併用住宅用建物」が廃止されましたが、全国ベースでの適用件数が少ないことからです。
また、「専用住宅用建物」と「附属家用建物」が統合されて「戸建形式住宅用建物」とされましたが、附属家であっても建築基準法に基づき母屋である「戸建形式住宅用建物」と同等の施工量が必要となることを踏まえたものからです。
<木造家屋の用途別区分の整理統合>
非木造家屋の用途別区分
非木造家屋の用途別区分では、「住宅、アパート用建物」を「戸建形式住宅用建物」と「集合形式住宅用建物」に分類することで、木造家屋と共通化されています。
<非木造家屋の用途別区分の整理統合>
令和6基準年度の部分別区分
部分別区分では、令和3基準年度の木造家屋が11種類、非木造家屋が14種類とされていましたが、令和6基準年度では、木造家屋が10種類、非木造家屋が11種類に整理統合されました。
<木造家屋の部分別区分(10種類)>
(1) 構造部
(ア)主体構造部、(イ)基礎
(2)外壁仕上、(3)内壁仕上、(4)床仕上、(5)天井仕上、(6)屋根仕上、(7)建具、(8)建築設備、(9)仮設工事、(10)その他工事
<非木造家屋の部分別区分(11種類)>
(1) 構造部
(ア)主体構造部、(イ)基礎工事、(ウ)外周壁骨組、(エ)間仕切骨組み
(2)外壁仕上、(3)内壁仕上、(4)床仕上、(5)天井仕上、(6)屋根仕上、(7)建具、(8)特殊設備、(9)建築設備、(10)仮設工事、(11)その他工事
家屋再建築費評点基準表(例)
今回は、固定資産税家屋の「再建築価格方式」が如何に複雑で、新築時の評価作業が大変なのかを分かっていただくために、敢えて再建築費評点基準表の一部を掲載することにしました。
ここに掲載するのは木造家屋の「戸建形式住宅用建物」の再建築費評点基準表です。
「戸建形式住宅用建物」だけでも、次のとおりA4版の7ページになりますが、用途別区分では木造7種類、非木造9種類になりますので、如何に大変かがお分かりになると思います。
<木造家屋再建築費評点基準表>
(戸建形式住宅用建物)
2024/4/29/14:00