原価法

原価法-費用性に着目した方式(価格)

原価法(積算価格)

 原価法とは、対象不動産と同じ不動産を現在、再び作ったらいくらかかるかという再調達原価を求め、中古の場合はその減価分を引いて減価修正をして積算価格を求める方式です。

 通常、土地については古く昔からあったもので再調達原価を求めることが難しいため、新しく開発された団地や埋立地等を除いて、既成市街地の土地には原価法は適用しません。本件は「更地」ですので原価法は適用しませんが、参考までに建物の積算価格の求め方を解説します。

再調達原価

 再調達原価とは、対象不動産を価格時点において再調達することを想定した場合において必要とされる適正な原価の総額を言います。

 建設請負により、請負者が発注者に対して直ちに使用可能な状態で引き渡す通常の場合を想定し、発注者が請負者に対して支払う標準的な建設費に発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算して求めるものとされています。

 建物及びその敷地の場合、土地の再調達原価(再調達原価が把握できない土地にあっては取引事例比較法等によって求めた更地の価格)又は借地権の価格を求め、この価格に建物の再調達原価を加算して求めます。

 再調達原価を求める方法には、対象不動産から直接求める直接法と類似の不動産から間接的に求める間接法とがあります。

 直接法は、概ね次のとおりとされています。

標準的な工事費 = 直接工事費 + 間接工事費 + 一般管理費等(請負者の適正な利益を含む)

 間接法は、類似の不動産等の直接工事費、間接工事費、一般管理費等、発注者が負担すべき通常の付帯費用の額及びその明細が明確に把握できる場合に、これらの明細を分析して事情補正、時点修正、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行なって対象不動産の再調達原価を求めます。

減価修正

 減価額を求めるには、耐用年数に基づく方法と観察減価法の2つの方法があり、原則としてこれらを併用するものとされています。

 耐用年数に基づく方法は、不動産鑑定評価基準においては定額法、定率法等があるとされていますが、定額法が一般的と言えます。観察減価法は、対象不動産について有形的な状態の観察が基礎とした減価の要因の調査により減価額を求めるものです。

 減価の要因には、次のものがあります。
<物理的要因>
 不動産を使用することによって生ずる摩耗及び破損、時の経過又は自然的作用によって生ずる老朽化並びに偶発的な損傷が挙げられます。
<機能的要因>
 不動産の機能的陳腐化(設備の旧式化、建物と敷地との不適応等)が挙げられます。
<経済的要因>
 不動産の経済的不適応(不動産とその付近の環境との不適合等)が挙げられます。

 建物及びその敷地の場合、土地の減価(擁壁の破損、土壌汚染等)、建物の減価、土地建物一体の減価(建物と敷地との不適応等)として、それぞれの有無、度合いが判断・判定されます。

積算価格

 積算価格は再調達原価から減価修正を控除して求めます。
 積算価格=再調達原価 – 減価額(減価修正)